僕は有料記事に向いていない《note で見た風景5》
『瞬間を支配する人工波 vs 時代を超えてゆく自然波』
note さんから200ポイントもらった。
期間限定って書いてあるから、キャンペかな?
けど、使い方がわからなくて、困る。
「あなたにおすすめの有料記事」ってあるけど、僕は普段これを見ない。
非表示にはできないし、それは運営さんのことを思えば当然だから、あって構わないけれど。
ただ僕は何となく、無意識に、有料記事は一切読まない、書かない、関わらないと決めていた。
どうして、そう決めたんだっけ?
そうなった経緯を、思い出した。
だから、その話を少し書こう。
もしかしたら運営さんは、それをちょっと知りたいかもしれない。
あれは、僕が今のアカウントで note を始めたばかりの頃だった。
偶然出会った記事に、僕は興味を持った。
著者は僕と同じように note を開始したばかりの、自称元風俗嬢さんで、業界の裏話を連載するが、10話で終了するとのことだった。
見出し画像は独自に用意されたもので、それ系の、かなり目を惹くものだったけど、ギリギリ年齢制限はかからないものだった。
全体的に同情できる内容で、お金に困っているけれど健気に頑張っていて、応援したくなる女性と言う印象だった。
僕が見たのは初回記事の公開直後で、連載を読みたかったので、とりあえずフォローした。
その三日後だかに2話がリリースされ、それは300円で、彼女のフォロワー数は一方的に50人くらいになっていた。
僕は、なるほど、と思った。
2話から有料、でも10話までと決まっている。
毎回300円、最終回だけ少し値上げして500円として、全話読むのに2900円くらいだろうか?
そのくらいなら出してあげようと思う人が、男性には多いかもしれない。
女性でも少しはいると思う。
相互は行わず三日で50人集めたと言うことは、最終的に100人くらいには読まれそうな気がした。
連載期間は一月程度で、29万円になる計算だ。
その後、一定期間放置した後に、退会しても問題ないはずだ。
使用した原稿は多少設定を変更すれば、新規アカウントで再利用できるだろう。
シリーズを12本持っていれば、年1使い回しで、12作120話をアレンジするだけで稼いでゆける。
僕は、これはプロが作った売れる商品だと思った。
見出し画像の内容、10話で終了、初回は自己紹介的な内容、300円と言う価格設定、すべてが、読者をつかむのにちょうど良い。
何より注目すべきは、この商品を買った際に得られるものが最初に提示されている点だ。
応援してあげたい相手に、少しのお金を出して、支えてあげることで得られる満足感、それがこの商品だと思った。
提供する側は書籍一冊分より短い作品で十分で、購入する側は本を買うよりお金を使うがその分リアリティを体験できる。
今の時代にマッチしたビジネスだと思った。
だけど、こう考えた後に、「もしもすべてが事実だったら?」とも考える。
著者は本当に実体験を書いていて、原稿を使い回したりもしていなかったら?
「29万円は、安すぎる・・・」
この時、僕は、「note で稼ぐとは、こう言うことか」と思った。
ここは、プライバシーを切り売りする場所なのだ。
有料記事活動をされている方々を拝見すると、何かを教える記事を出す方が多いような気がするが、と同時に、成果はあまり芳しくないように見える。
そうだろうね。
皆がそんな記事を書いていたら、当然競争は激しくなるし、そもそもそれは note じゃなくてもいい。
だけど、個人の人生の裏側を、知り合いには話せないような秘密を、恥ずかしくて言えないことや、みっともない姿を赤裸々に公開する人がいたら、どうだろうか?
それは、note だからこそ、じゃないかな?
ここが稼げると言うのは、自分をネタにしたゴシップ記事を書きタブロイドを売る場所としてなのではないかと、僕は感じたのだ。
それが創作ならいいけれど、事実を書くなら、報酬が見合わない気がする。
けれどそこは考えようで、書くだけで、やらなくても良い場所なのだ。
著者が小学生でも問題ない。
そう言う場があっても、全然良いと思う。
ただ僕は、それに興味が持てなかった。
自分にとって面白いのは、読まれることを想定せず、誰かが、ただ書きたいから書いた『本音』なのだ。
なぜって、それは図書館にはないから。
そして僕自身も、読まれなくても良いから、書きたいことを書きたかった。
だって、ここでは原稿料をもらっていないからさ。
仕事で書くなら読む人のために書くけれど、その時は自分が書きたいことなんて一文字も書けない。
自分の意見なんて当然入れられない。
自分が書いた記事が書店に並んでいても、手に取って見ようだなんて思わない。
ただ、
「ああ、今号も間に合ったか。凸版さん凄え。戻したの一昨日だったか? 毎度申し訳ない」
と思うばかりだった。
でもね、僕は否定はしないよ。
書きたいことを書いて、自分の意見を述べて、それを世間に読んでもらって、自分の気持を多くの人にわかってもらって、そしてお金も払ってもらって、皆が次の更新を楽しみに待ってくれる、って夢があっても、全然いいと思う。
それが無理だとも言わない。
可能性は無限だ。
単に僕はそう言う夢を持たないと言うだけ。
多分、一度でもそれが職だった人は、僕と似たような考えかもしれない。
お金をもらったなら、良い仕事をするだけだ。
自分を主人公として考える世界は、自分の周囲だけの狭い範囲の物語で、それじゃ面白くないんだ。
地球全体、宇宙全体のことを考えるなら、自分と言う存在はとても小さな1つのパーツにすぎない。
でもね、そのパーツが微小な波を発信して、それを全体に及ぼすことも可能だよ。
実際に、それをやっている人が、世界中に大勢いる。
もちろん、この note にも。
特別なことじゃなく、平凡な日常の中でね。
その波がキャッチできる記事が僕にとっては面白くて、それは大抵、無料公開の中にある。
だって皆さ、有料記事って、売れるように書くでしょ?
読まれるように、努力するでしょ?
そう言うことなんだ。
でも、否定はしないよ。