野良猫が慕う 親愛なる者
嫉妬深い男性が苦手で
自分はそうならないと、頭の隅に置いていた
だけど、ちょっとしたキッカケで
自らの嫉妬深さに気づき、足掻いた
個性があってもいいじゃないか
自分が傷つくことが怖いのだから
人と違うことに苦しんでいることを
知らないだろう この気持ちは伝わらない
なかなか素直になれなかった
人見知りの私は、猫のように特定の人にしか
甘えることができない
そして
猫のように、言葉で相手を引っ掻き
怒らせてしまう
「嫉妬してるの?」 相手の問いかけに
「うん」 不意打ちを食い、無意識に頷く
例えばそれで、自分が傷ついても
例えばそれで、人が傷ついても
例えばそれで、人以上に傷ついても
例えばそれで、不甲斐なさを確かめても
他罰的だと批判するなら
その前に
他罰的にさせられたのは
自分の弱さだと理由をつける
髙橋玲子さんの作品は
人様の心を扱う仕事をなさっているだけに
詩に重みがあり、洞察力に長け
人の弱さを自分のことのように受け止める
感受性が強い
自己啓発本のようなありきたりな軽薄さはない
なので
どこか私を判ってくれるに違いないと
期待しながら作品を読む
私の言葉はあなたの世界では
平等ではない
あなたの言葉は私の世界では
一般化はされない
私が強く生きるために
あなたが優しく生きるために
私はあなたと出会えたのだ
わたしはわたしの人生を生きる
あなたはあなたの人生を生きる。
わたしはあなたの期待にこたえるために生きているのではない
あなたもわたしの期待にこたえるために生きているのではない。
私は私。
あなたはあなた。
もし縁があって、私たちが互いに出会えるならそれは素晴らしいことだ。
しかし出会えないのであれれば、それも仕方のないことだ
本当であれば、ここからは
玲子さんの作品に影響を受けて
成長した自分を書きたかった
ところが、自分の中にある「猫的気質」は
相変わらず
噛み癖や引っ掻くこと、マイペースでいること
お腹がすくと擦り寄る
よその猫を可愛がると嫉妬する
「野良猫」を手懐けたばかりに
振り回される「親愛なる者」