【導入事例】オープンイノベーションで実現。「まるでたまごのサラダ®︎」の開発秘話とは?
弊社とのお取り組みをいただく企業様やお客様へのインタビュー第一弾をお届けいたいます!実際に弊社商品の導入に至る背景や、取り組み内容など、インタビューを通してお伝えします。
第一弾はケンコーマヨネーズ株式会社の中本様の元を訪ねました。
外食・中食をはじめとした各業態のお客様向けに、マヨネーズ・ドレッシング・ソース類、タマゴ加工品、サラダ・総菜類などを製造・販売している業務用中心の食品メーカーであるケンコーマヨネーズ株式会社。2023年10月には、「まるでタマゴのサラダ®︎」を共同開発商品としてリリース。
UMAMI UNITED JAPAN との出会いから、プラントベース商品が実際に発売されるまでの開発ヒストリーです。スタートアップ企業と大手食品メーカーによるオープンイノベーションの裏側に迫ります。
Q: 弊社および弊社プロダクトを知ったきっかけを教えてください。
A: 2022年4月の食品展示会「ファベックス」にて、当時の弊社購買担当者が貴社の製品に出会ったのがきっかけです。彼はすぐに「これはいいぞ!」と感じ、具体的な導入検討が始まりました。私自身も開発担当として、食品に関するフードテックスタートアップも増えてきている中で、植物性たまごの研究開発をしている会社というのは非常に興味を持ちました。
Q: 製品導入をするにあたり、どのような課題背景がありましたか?
A.当社では「サラダ料理で世界一になる」をビジョンに、サラダを軸とした商品を多数取り扱っております。そんな中で世界情勢や食を取り巻く環境の変化に応じ、日本国内や世界へ食の楽しさと可能性を伝えるため、「HAPPY!! with VEG®︎」という、乳製品や卵、肉類を使用していないプラントベースの商品を開発・販売しています。
上記の『HAPPY!! with VEG®』シリーズには大豆ミートを使ったボロネーゼなど複数ラインナップがありますが、今回新たにタマゴサラダをプラントベースのサラダにするという初めての試みを行いました。たまごを使わず、たまごの味わいやたまごが持つ加熱凝固を再現するというのは非常にハードルの高いことでした。
Q: 製品開発に向けて、どのような課題や検討がありましたか?
A: UMAMI EGGの導入にあたり、食味や風味などに可能性を感じる一方、全く新しい材料が故に、私たちが目指す製品として加熱凝固の作用とふんわりしたテクスチャーの再現方法の確立には苦戦しました。他の開発チームからゲル状や凝固に関するノウハウを引き出し、配合比率や工程を組み合わせて検証しました。約300パターンに近い検証中は、ため息が出るほどの試行錯誤がありましたが、今ではいい思い出です(笑)
社内の研究データも加わり、加熱凝固の要素をうまく生かしながら、本来目指していたたまごらしいテクスチャーをもった美味しい商品が形になった時には大きな達成感を感じました。
Q: 「まるでたまごのサラダ®︎」のリリースまでのプロセスについて教えてください。
A:配合決定までに約1年、試作や生産ラインテストを経て、リリースまで約1年半かかりました。今回は当時入社まもない私がアサインされたのですが、通常こういった大きなプロジェクトの商品開発を新人が担当することは稀なことなんです。貴社との共同開発のリリースによって、外部メディアからの取材も受けるなど非常に良い経験となりました。
Q: 商品開発にあたり、特に苦労した点は何ですか?
A.商品として発売できるレベルに到達するための検証は非常に大変な道のりでした。ラボでの小規模な試作と比べると、大規模生産に向けた工場での製品化の過程では、テクスチャーの再現などにギャップがあり、工場適性などを加味しながら進めていきました。社内の研究データも加わり、UMAMI EGGが持つ加熱凝固の要素を駆使しながら、たまごらしい食感や味わいなどが再現でき、この製品を通じて新たなプラントベースフードを発信していけるという喜びは非常に大きなものでした。
Q: UMAMI EGGの良いところと改善希望箇所を教えてください。
A:良いところはやはり加熱した時の凝固感の再現性の高さですね。加熱凝固というたまごが持つ機能を発揮する植物性原料は非常に珍しいことですね!また、粉体であることの利便性、そして野菜パウダーとの掛け合わせによるたまごの風味の再現に優れている点です。一方で改善希望とするのであれば、慣れた鶏卵類とは違いこんにゃく粉特有の粘度があり固まるまでの時間がかかるという点です。最初はドロドロ感に慣れず苦戦しました。
一概に全ての商品開発に当てはまるわけではないとは思いますが、今回の「まるでたまごのサラダ®︎」のような製品の場合は、凝固時間の短縮や粘度が改善されるとなお良いですね。
Q: 今後弊社および弊社プロダクトに望むことは?
A.プラントベースのたまご原料として、それぞれの機能用途にあったプロダクトがあるとなお良いですね。たまごは一つとっても、卵黄の脂質が持つコク、卵白が持つふわふわとした膨らみを作る要素など様々な側面があるため、用途に応じた機能に特化した製品ができることに期待しています。今後も多くのプラントベース商品群の商品開発が可能になるのではないかと考えています。
終わりに。
製品化に至るまでの検証数や、社内に蓄積されたノウハウが集約され、中本様をはじめとする、多くの人たちの想いが詰まった製品作りが非常に印象的でした。よいお話を聞かせていただきました。 ありがとうございました!
ケンコーマヨネーズ株式会社「まるでたまご®︎のサラダ」
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