今年の夏に2019年から約5年半勤めた会社を辞めた。アプリだけ入れていた転職サービスを開いてみたら会員登録年が2019年で笑ってしまった。そうだ、新卒の就活では理想を叶えられたとはとても言えず、社会人生活には常にうっすらと会社をやめる選択肢が漂っていたんだ。 あとついでに実家も出た。幸福なことに実家が都心へのアクセスがよろしい駅なので、出る必要はなかった。 それでも次の職場が少し遠かったと、自分ひとりの部屋を拠点に生きてみるというのは必要だと思ったし憧れがあったので、
20歳になって大人の仲間入りをしたのは7年も前になる。7年。改めて書き起こすとなかなかに重い数字だ。この7年の間、確かに色々と成長して、色々なことを諦めて、いろんな考え方が身について、じわりじわりと20歳の自分から別人になったと思う。それでも、好きなものと交友関係は20歳の頃からそんなに変わっていない。というか、今の自分は30歳と20歳とだったら20歳のほうが近いんじゃないかと感じてしまう。こうやって若者に対してやたら距離感の近いおじさんが生まれるんだろうなと気づき、気をつ
第一屋 こんな中華屋に行った。 会社から歩いて10分弱のところにあるその中華屋を見つけたのは事務所移転を二ヶ月後に控えた冬の日だった。家でニラ玉づくりに失敗してからどうも中華味の卵炒めが食べたかった。卵炒めらしきメニューがあるその中華屋に辿り着けたのは多分四軒目くらいだったと思う。入店するなり「蝦と卵炒め」の定食を頼み、大して味わいもせずに席を立ったが、えも言われぬ満足感が確かにあった。 妙に気に入った「蝦と卵炒め」を食べに週に三度ほどその中華屋に通っていたので、多分
大きなレザートートを彼女からもらった。大学1年生の誕生日である。大学生といっても、その時はまだ入学して半年も経っていない。つい数ヶ月前まで部活着と教科書でパンパンのエナメルバッグか、ヴィレヴァンで4,000円のリュックで高校に通っていたのだから、普通のレザートートがたまらなくお洒落で新鮮にみえた。 当然大切に使ったが、その次の誕生日はその子と迎えることはなかった。たしか同じ年度の終わりごろに別れた。その後もまたお付き合いする人は現れたり現れなかったりするが、このレザート
神奈川県町田市でお馴染みの東京都町田市は地元からほど近く、大学四年間お世話になったバイト先は町田にあった。その頃は毎週通っていたが、大学を卒業してからはわざわざ町田に行くことはなくなってしまった。今日、たまたま横浜線の駅から町田経由で直帰だったので、しばらく行ってない間にどれだけ変わったか驚いてやろうと思って町田を散歩することにした。しばらく散歩して、予想の斜め上の変わり方をしていることに気づく。町田、なんか小洒落てない? 町田は大きめのショッピングモールと飲み屋が立ち
159円。先月の利益が確定したとLINEから自動メッセージが届いた。3年ほど前につくったLINEスタンプの売上金だ。これを見て、少し驚いた。 LINEスタンプは大体100円程度で買うわけだが、売上の仕組みとしてはLINEとAppStoreと製作者の三者で約3分の1ずつ分け合うような形となる。つまり、1人に買ってもらえると大体30円ほど製作者の手元に入る仕組みとなる。つまり先月、5人くらい僕のスタンプを買ってくれたらしい。金額も人数もほんのわずかだが、3年経ってもまだ5人
25回目の誕生日を間近に控えている。夏休みも夏休み、お盆の時期の生まれだから小学校の頃から誕生日を祝われることが少なかったが、学校を卒業すると尚更だ。祝われはしなくても、毎年自分の年齢に驚く。 アスリートやミュージシャンのように輝かしい人間になることはなく当然のように会社員をやっているが、車にはねられることもなく、犯罪に手を染めることもなく、心身ともに十分健康で大学を卒業して、正社員で働いていることは案外普通ではないかもしれない。YouTubeやinstagramがある
自粛だなんだと言われてから気づけば随分経った。特に最初の2ヶ月くらいは外に出るだけで悪のような風潮があり、アウトドア派はコロナ鬱などと言われるくらい苦しんだらしい。僕はというと、まっっっったくつらくなかった。 友人と会いたくないと言えばもちろん嘘になるが、連絡はとれるしそのうち会えるだろうと思った。旅行やカメラは好きだし、実はダイビングとバイクの免許をもっているし、完全なインドア派でもないのだが、それもそのうち行けば良いと思った。これを機に、「引きこもるにも才能がいること
15年くらい前のことである。リアルもデジタルも今と比べると発展途上と言える頃の話だ。マンションばかりが建ち並んでいる最寄り駅の周りもその頃はただの藪で、windowsのデスクトップは草原だった。偉そうに昔を語れる歳でもないが、当時のインターネットはやはり未開といえるほど様相が異なっていたように思う。 その頃小学4年か5年くらいの僕はネット掲示板にハマっていた。ネット掲示板といっても2ちゃんねるのような殺伐としているやつではなく、所謂ハンドルネームを名乗ってキッズたちが
電車の中はくたびれたサラリーマンでぎゅうぎゅうになっている。社会人になって1年が経ち、毎朝自分がその一員になることに特に何も思わなくなった。朝の電車自体は高校生のときから利用していたが、20分ほど早いだけで車内の平均年齢がこんなに上がるなんて知らなかった。 不自然に膨れたおじさんのお腹が右腕にあたる。その体型になるまでになんとかしようと思わなかったのか。僕と左肩と擦れ合う別のおじさんの右肩にはフケが溜まっている。それ会社で嫌われないんか。ドアップで顔面を見ざるを得ない正
趣味は水族館。1年前の就職活動では必ずこう答えていた。奇を衒ったような趣味だが、嘘ではないし、この回答を考えついた時は至極真面目であった。 のちに友達に就活の話をしているときに趣味を聞かれたらこう答えていると話したところ面白がられ、そこで初めてこの回答がややトリッキーであると知った。 強いていえばベースとカメラも趣味だが、ベースは就活中の当時はほとんど弾いていなかったし、写真を撮るのは好きだったが、趣味というほど詳しくは語れなかった。(今思えば好きなら知識がなくても
ジビエとは野生の鳥獣を狩って得られる肉のこと、らしい。要はシカだとかイノシシだとか、普段の食卓に並ぶことは珍しいような動物の肉を指す。本記事はそのジビエを食べてきたよ、という特にオチもない話である。ジビエを食べるに至ったきっかけは、単純な興味があったのと話のネタになりそうだと思ったからなので、整理がてら書いておく。 ちなみに、僕は舌が安いので繊細な食レポはできないし、なんなら的外れな言葉選びをしてしまうかもしれないが、自分が感じたままを書く。 7/27、新宿。休日の
食への関心は高いとは言えないと思う。社会人になってからお昼をとる時、1人だったら必ずコンビニに行く。おにぎり1つとサラダチキンバーを食べて、それで終わりだ。ダイエットをしているわけではなく、これで良い。毎日お店で定食だなんだと食べると経済的に厳しいというのもあるが、もし値段が一緒でもコンビニには行くと思う。会社の昼休みという限られた時間の中でお店を探して何を食べるか考えて…というのが煩わしい。思考停止してコンビニに行き、バーコード決済するのは楽で良い。 ではできるこ
モノが手に入りやすい世の中になった。実店舗でももちろんのこと、ネットがあれば大抵のものは手に入れられる。フリマアプリなんかも最早蚤の市という言葉とは程遠いような立派なECサイトとなっている。 これだけ充実していたらもうお金さえあれば手に入れられないものはなさそうだが、意外にもモノは売り切れる。まだ欲しい人がいるのに、服もスイーツもスニーカーも売り切れる。売り切れることで箔がつくこともあるのだろうが、品切れというのは消費者に対する裏切りのような気もする。こんなに素敵な商品