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“助けてください” エンドロールのその後に….

旅のエンドロールが流れている。

後は 空っぽになったガソリンタンクに
次の旅の 燃料を満たすのみ…

“助けてください”
????
“助けてください”

囁くように
何処かから 声が聴こえてくる。

ここは ガソリンスタンド
隣のレーンのお姉さんが 囁いている。

“足が痺れて動かなくて”

代わりに ガソリンを入れて欲しいのか?
“代わりに入れましょうか?”

でも 様子がおかしい
“どうされました?”

“足が引き攣って動けないから
助けて欲しい”
“摩って 解せば 歩けるように”と

店員に 状況を伝えに行く
車内には 車椅子

ある日 突然歩けなくなり
今は 病院でリハビリの帰りだと

(ギランバレー?)

店員さんと 共に店内に運び
椅子を 並べて 簡易ベッドを作り
引き攣った足を 伸ばしてもらう

“お医者さんですか?”

お姉さんは繰り返す

“いえいえ 普通の会社員

貴女と同じく ある日
突然歩け無くなって しばらく
寝たきりでしたから”

少し 安堵されたのか 色々話だされる。

色々聞いて 判断して
“救急車 呼びましょう かかりつけ医に搬入してもらって 診てもらい
帰って来れるなら

タクシーで ここまで
無理なら 後日 車を引き取りに”

“119番”

“火事ですか?
救急ですか?
どちらからですか?”

危機管理の講義で 救急の呼び方を
いつも 教えていた。
日常でも 何故か良く 救急車を呼ぶ
場面に出会す

しばらくして 救急車がやって来た
誘導して 案内する。

隊長は 大きな声で話す。

“通報ありがとう御座いました。
後は お任せください”

とても 丁寧に凛々しく かっこよかった。

“よろしくお願いします。”

スタンドの店長さんと 車の引き取りの
打ち合わせを 済ませ

ガソリンスタンドを後にする


一年半前
ギランバレー発症してからも 
仕事に出ていた。

主治医や トレーナーにいつも いつも
言われていた。
“外で 倒れて動けなくならなくて
良かったね”

そういえば
握力無くて
ガソリンスタンドで 燃料キャップが
閉めれなくて 助けてもらったっけ…


旅のエンドロールが流れてから
聴こえてきた

“助けてください”

まだまだ 体力気力は 以前の千分の一にも満たない

エネルギー枯渇して
動けなくなるまえに
素直に

“助けてください”って

言えるようになろう


ギランバレーに恋をして
回復期リハビリテーション
“助けてください”

相変わらず 持っているのか
旅は 濃い

誰もが
“助けてください”が 
躊躇なく 言える年に なりますように

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