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“また 川でな… “


目の前に立つフル装備の爺ちゃん
フライ用の小鮎捕りに来たらしい


”仲間に入れてくれ....”
“どうぞ どうぞ”

80過ぎても 鮎漁師の爺ちゃんは元気だ

そんな 会話から 鮎漁は 始まる。


鮎漁 解禁日
五時過ぎから 準備している
遠足前の幼稚園児と変わらない

三分で 着く漁場へ
七時過ぎに着いている

誰も居ない....

変則的な解禁日だから
メインの堰堤は 禁漁である

解禁日珍しく
川の監視員が 寄って来る
“綱を 見に来たと”

色々な 話をする。

“ところで 山さんは?”

昨年 一から投網の打ち方を
教えてもらった 投網の師匠である。

“亡くなった”


クリスマスの頃
仙人界(急性期病院)で バッタリ逢って
記念に写真を撮っていた
お互いに 微笑んでいた。



“また 川でな”って…..”

この川で 一番鮎を獲る
鮎漁師らしい 師匠の最後の言葉だった。


午前八時 解禁である。

あちこち鮎の飛び跳ねる
水面を眺めながら この待っている
時が 好きである。

ただ 全く時が進まない
スマホの秒針が止まって見える...


頭の中に アインシュタインが
現れる

熱いストーブの上に1分間手を当ててみて下さい、まるで1時間位に感じられる。では可愛い女の子と一緒に1時間座っているとどうだろう、まるで1分間ぐらいにしか 感じられない。それが相対性です

アインシュタイン

八時ピッタリに 網を入れる。
ピッタリに…
鮎漁師である。


早く美しい鮎達の顔が見たいと
川面を 掻き分け 網を巻く


あれ?….
あれ?….

鮎が居ない…..

監視員が言っていた。
今年 天然遡上が多いけど 
とても 小さくて….

網目が合わなくて 抜けて行くのである。

堰堤の解禁日を 十日遅らせたのも
納得である。

投網を 打ってみる。
身体は 覚えているものである。

水面に広がる投網を 観て一人喜ぶ。

あれ?
あれ?
一匹も居ない

その姿を観て 爺ちゃんが
寄って来る。

“仲間に入れてくれないか?”

“どうぞどうぞ
鮎 細か過ぎて さっぱりだけど”

鮎漁師は 網の目の話をする
“何分?”
”四分半 抜けて無理“
“三分やな”と

何処かから 聞こえてくる

“それでは 獲れん”と
山さんの 口癖が....


いつもの漁場に移動する
高水で 網は入れれない

川の中に立ち 漁場を眺める

朝 目覚めれたら
いつも いつも 眺めている景色

”川と山と雲と鮎“

スパルタリハビリが始まる
雪の便りが聞こえる
11月末まで 川で泳いでいる
きっと....

ギランバレーに恋をして
回復期リハビリテーション
また 川でな


ギランバレーに恋をして
歩きも 箸も持てなかって...,

スパルタリハビリを昨年クリアしたから
今が ある訳でして….

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