春菊の種をまきたかったけど。
ふとんに寝転んだまま、スマホの時計を見ると、まだ朝の5時でした。
なので、もう一度、目を閉じました。
雨の音がします。ベランダの手すりに雨粒が当たる音。「タタタタタタタ・・・。」
カラスが遠くで鳴いています。「カア、カア」ではなくて、どちらかというと「クウァ、クウァ」って感じ。
バイクが1台通りました。「ブーーーン。」たぶん、新聞配達の原付の音。
そうか、やっぱり今日は雨か・・・。
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僕は、小さな畑を借りて、家庭菜園をやっています。初心者なので、農家のおっちゃんに野菜の育て方を教えてもらっています。
今日は、春菊の種をまく予定でした。
本当は、春菊の種をまくのは、先週の日曜日の予定でした。でも、先週も雨だったので、種まきはできませんでした。もう、1週間ほど経っています。
スケジュールの関係で、今日、どうしても種まきをやりたかった。晴れて欲しかったのです。
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まあ、自然を相手にすることなので、仕方がないことです。天気なんて、コントロールできない。不如意なもんです。
てるてる坊主を作って、晴れてくれと、お祈りしたい気分です。
でも、雨は、恵みの雨でもあります。今日の雨だって、それを喜んでいる人がいるかもしれない。
だから、自分の都合ばかりを考えていては、おてんとさまに失礼かもしれない。何事も、自分の思い通りには、ならないもんだ。
仕方がないので、そう、自分に言い聞かせます。
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人から言われて気づいたことがあります。
僕は、結構、天気を気にするらしいのです。
たしかに、天気予報はよく見るし、天気によって行動が左右されることも多い。
折りたたみ傘なんて、いつも持っています。
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仲の良い同期に、傘を持ち歩かない男がいます。
彼は、天気予報は気にしない。雨が降ったらそれでいい。多少の雨なら、濡れても構わない。天気で自分の行動を曲げるなんて、ナンセンス。
自然体でかっこいい。
そう、思います。
でも、彼の家に行ったとき、ビニール傘がたくさんあった。
雨が強いときは、その都度、コンビニで傘を買うらしい。
いつも傘を持ち歩かないから、強い雨が降る度に、買った傘が増えていく。
「エコじゃねぇ・・・」
そう、思いました。
やっぱり僕は、折りたたみ傘を持つことにします。
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「晴耕雨読」
いい言葉を見つけました。今日は、まさに、この言葉がぴったりです。
外は雨です。畑に行って、種まきはできないけれども、家の中で、本が読めるじゃないか。
そういえば、僕の本棚には、買っただけで、読んでもいない本がたくさんあります。
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ふと、気づくと、雨の音が消えていました。もしかしてと思い、期待を込めて、窓を開けたら、やっぱり雨は降っていました。どうやら、生活の音にかき消されているだけだったようです。
傘を持ち歩かない男は、とんでもない読書家です。僕は、彼からいろいろと学んでいます。
せっかく買ったのに、読まずに無駄になっている僕の本を見たら、
「エコじゃねぇ・・・」
と彼は思うでしょう。
でも、積ん読が減っていないのは、しばらく、雨が降っていなかっただけなんです。
たぶん・・・。
おかげさまで、雨の日の楽しみが1つ増えました!