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腸腰筋の機能障害とASLR評価

みなさん、こんにちはリハビリナレッジです。
今回はリハナレメンバーである梅本君によるアウトプット内容です。
今回は無料公開です。
専門的知識が多くある内容になっておりますので有料の場合もありますが、有益な情報が手に入るため、ぜひチェックしてみてください!

では今回のテーマ【腸腰筋の機能障害とASLR評価】です

はじめに

臨床上、腸腰筋に対して運動療法を行わない日はないほど重要な筋肉です。しかし、大腿直筋によって筋発揮が阻害されることが多いと感じられます。腸腰筋は身体の中で唯一、体幹(脊柱)から下肢(大腿骨)まで繋がりを持つ筋肉です。そのため、腸腰筋を効果的に機能させるためには、体幹機能との繋がりを評価する必要があります。

骨盤荷重伝達障害

骨盤は体重を下肢に伝達する役割があり、唯一体幹と下肢との繋がりを持つ腸腰筋の機能不全は骨盤の荷重伝達に影響を及ぼします。また骨盤帯の不安定性やマルアライメントなどによる骨盤荷重伝達障害は、出産後の仙腸関節痛や高齢者の歩行安定性を低下させる原因になるといわれています。臨床上、「体重を乗せにくい」「下肢の力を発揮しづらい」といった発言も耳にすることが多々あります。このような主訴とする機能異常は、力の伝達不良(FLT)や骨盤荷重伝達障害によるものと考えられます。その結果、歩行障害やADL障害、他の筋群や関節に過度な負荷が加わり、疼痛を引き起こす恐れがあります。

腸腰筋(大腰筋・小腰筋・腸骨筋)の構成

  • 大腰筋

    • 起始:腰椎の横突起と椎体

    • 停止:大腿骨の小転子

    • 作用:股関節の屈曲、体幹の安定化

    • 神経支配:腰神経叢(L1-L3)

  • 小腰筋

    • 起始:T12およびL1の椎体

    • 停止:腸骨筋膜および腸恥隆起

    • 作用:骨盤の前傾

    • 神経支配:腰神経叢(L1)

  • 腸骨筋

    • 起始:腸骨窩

    • 停止:大腿骨の小転子

    • 作用:股関節の屈曲

    • 神経支配:大腿神経(L2-L4)

脊柱・骨盤のアライメントによる腸腰筋への影響

腸腰筋は腰椎、骨盤と密接に関連しています。腸腰筋の緊張や機能不全は、腰椎のアライメントに影響を与え、骨盤の動きや安定性に影響します。

通常、腸腰筋は大腿骨に対して骨盤を前傾させる作用があります。しかし、起始部のアライメントによって作用が逆転することがあります。例えば、骨盤が後傾(腰椎後湾位)していると、腸腰筋が大腿骨に対して骨盤を後傾させる力が働きます。

例として挙げると臨床で、骨盤後傾(円背)が強く立ち上がり動作で骨盤前傾が出ない対象者に対して、骨盤後傾位で腸腰筋に対しての運動療法を行うと、不良姿勢を助長し、療法士自らで動作の阻害因子をより強めてしまう可能性があります。そのため、腸腰筋への介入を行う前に、起始部(体幹機能)を細かく評価する必要があります。

ASLR評価

ASLR(Active Straight Leg Raise)評価は、腸腰筋の機能を評価するための重要な手法です。この評価は、患者が仰向けになり、片脚をまっすぐに上げる動作を行う際の筋力や安定性を観察します。具体的には以下の方法でスクリーニングを行い、代償の変化や下肢の上げやすさの変化を評価します。

以下の方法でより変化が出た場合、機能不全を疑います:

・ASISの圧迫:腹横筋・内腹斜筋の機能低下

・肋骨のアシスト:腹斜筋の機能低下

・PSISの圧迫:多裂筋の機能低下

これらの評価を通じて、腸腰筋の機能や体幹の安定性を詳細に把握し、適切な運動療法を設定することが可能です。

終わりに

この記事を通じて得た知識を、日々の実践に活かし、患者さんの生活の質向上に貢献してください。

今後もリハビリナレッジのnoteでは、専門的な情報や実践的なアドバイスを提供していきますので、お見逃しなく!

次回は、呼吸パターンからみた体幹(腹圧)の安定性について記事を作成する予定です。

参考文献

平沼憲治,他:コアセラピーの理論と実践.株式会社講談社,2011.

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