見出し画像

真言密教の呼吸・瞑想法『阿字観』を体験。in 高野山

真言密教の開祖、空海は
高野山を取り囲む八方の山々を
八葉蓮華に見立てたそうです。

ずば抜けた空間認知能力の持ち主です。

真言宗3600ヵ寺の総本山であり
高野山内にある寺の本坊である金剛峯寺。

写真は金剛峯寺から望む石庭、蟠龍庭です。

蟠龍庭
雲海を雌雄の龍が泳ぐ

今回は金剛峯寺内、阿字観道場にて
真言密教の瞑想法『阿字観』を体験してきました。

ちなみに密教とは秘密仏教のことです。
仏教の先の教えであり、
さまざまな修行を経ることで
輪廻せずとも即身成仏に至ることができます。

空海曰く
即身成仏は
大日如来すなわち大宇宙と一体化
することで為すことが可能であり、

その作法として
宇宙の大生命を感得する呼吸・瞑想法
それが阿字観です。

金剛峯寺阿字観道場では
週4日、4回/日開催されます。
9:00
11:00
13:30
15:30
(各回定員14名)
詳しくは高野山宿坊協会HPをご参照ください。

金剛峯寺内回廊

お坊さんから
まず
道場までの回廊を歩く際は
合掌し、音を立てずに歩くことを教わります。

そして一歩、一歩
その足元には蓮の花が咲く様子を思い浮かばせます。

道場への道中から
既に修行が始まっています。

阿字観は
その字のとおり
阿の字を観じる。

阿(あ)はすなわち大日如来を一文字で表現している。
大日如来は大宇宙そのものである、と。

月の中に八葉蓮華、中心には阿

サンスクリット語(古代インド文字)での阿は上記画像の文字です。

ちなみに『阿』は当て字であり、
この字である意味は特にない、とのこと。

阿字観(瞑想)作法

まずは身に着けている時計やアクセサリーを取り外します。
きつく締めたベルトなども緩めます。
そして、これまで積み重ねた
知識、技術、実績、プライドも全て外します。

大社長様も子供達もここでは
差はありません、と。


①調身ちょうしん(座法)
半胡座で『法界定印』を結びます。
姿勢は伸ばしすぎず、脱力しすぎず。

頭上から糸でひかれているような力感で背骨を立てる。

足を組むのも、手を組むのもどちらも右側が上です。

目は半眼にし50cm程手前をぼんやりを見つめます。

仏様が薄目なのもこの状態だと気付きました。

大日如来坐像:上原美術館

②調息ちょうそく(浄化呼吸)

ここで腹式呼吸を行います。
吸気:
新鮮で白い霧のような空気が鼻より入ってきます。

呼気:
できるだけ口から細く、長く呼息をおこないます。
この時点で足が痺れてきます(汗)
すると余計な緊張から腹式呼吸が浅くなり、
苦しくなっていくのを感じました。


③調心ちょうしん(正観)

※ここが最も難しかったです。汗

こんどは口をうすく開いて呼気と共に
半眼のまま『あー』と長く発声します。
50cm先に届けた『あ』を
徐々に1m、2m、3m、、と声の行方を広げていきます。
はっきりした『あ』を徐々に小さく
最後は聞こえなくなるまでにします。

そして最終
自身の周りに八葉蓮華が咲き、
自身を満月が包み込み、
自身自体を『あ』と同化させながら、
『あ』を全宇宙に咆哮するように発します。
ここで私の脳は追いつかなくなりました。汗

※調心は誤った作法で行うと危険です。
 調心に関してはこの記事を読んで試されるより、
 専門的な指導者のもと行ってください。

息が苦しい。
足が痛い。
背中がしんどい。
姿勢が傾いてきた。
大宇宙どころか蓮を取り囲むことすら
想像ができない、
喉が渇いた。
腹もへってきた。
廊下で人がしゃべっている。
雀が鳴いた。
すこし落ち着いた。
呼吸法には自信があったのに。
いま何分続けている?

など様々な思考がめぐりました。


お坊さんが合図を出し、終了。

最後にお坊さんが
『今で5分が経ちました。この時間をどう捉えるのかは人により異なります。そして、しんどい、痛い、昼なに食べようかな、眠たいなど様々な考えが浮かぶと思いますが、それらをすべて肯定してください。瞑想の状態に至れなかったからと否定はせず、煩悩を感じることも瞑想です。そして皆さまは今日、仏の一歩目を踏み出しました。このまま歩みを進めてください。』と。

金剛峯寺 正面

阿字観体験
正直緊張感もあり、脳も非常によく使いました。
無の境地には至れませんでしたが、
それは私が阿字観に求めていた理想でした。

しかし
大日如来、宇宙を感じ
同化を試みることで
自己肯定が生まれ、
感謝が起こることは必然でした。

阿字観指南書

ちなみに金剛峯寺での阿字観体験後
お土産として
阿字観の指南書(パンフレット)がいただけます。

ご興味ある方はご参考までに。

ではでは^^

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?