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「予防接種」と息子


先日、息子が最後の予防接種を打ってきた。
やっと終わった。

小児科で「これで終わりですね、お疲れさまでした」という言葉と共に 母子手帳を受け取った。

感慨深い。
お疲れさま息子!!お疲れさま私!!


思えば色々あった。

最初は本当によく分からなくて、乳児期からこんなにも打つのか?なんという面倒くさいんだ!と嘆きながら、それでも息子の命に関わることだからと頑張って調べ 理解をし 予約をとり 連れていった。

少し大きくなると 敏感な息子は注射を泣いて嫌がるようになった。無理やり打つことは出来ず、一回打つのに小児科へ3回通ったこともあった。

看護師さんが仲良くなってくれ「次来てくれたときには◯◯くんが好きなトイ・ストーリー流しておくね」なんて言い、次行ったとき本当にトイ・ストーリーが流れていたときは 嬉しくて私が泣きそうだった。その日も結局打てなかったのだが。

ごまかしや子ども騙しのような事は通用しなかったように思う。私自身が子どもを子どもらしく扱うのが苦手だったのかもしれない。いや、子ども扱いし過ぎていたのかもしれない。ただ、イヤなものはイヤだと主張できる子だったんだな。


更に大きくなると、泣かない男に成長し、注射の痛みに耐えるようになった。ビビリながらもすんなり受け入れるようになった。注射ごときで泣かなくなったオレかっこいい、ってなところか。


そして、最後となる DT2期、区役所から通知が届いたのはちょうど完全不登校真っ最中の頃だった。
学校で受けられなかった内科検診、歯科検診すら行けなかった。予約しても当日キャンセルだった。病院自体が怖かったらしい。注射なんて到底ムリだ。

3年程前の花粉症舌下治療の採血が相当痛くトラウマになってもいたようだ。


12歳の誕生日まで1年間は無料だから、まあゆっくり構えて、打つ気になったら打てばいいやと思っていた。打たない覚悟もできていた。
(お便りをよく見たら、実際は13歳の誕生日まであと1年は無料で大丈夫だったが…)

私が忘れないようにカレンダーに入力し、3ヶ月に一度くらいのペースで息子に声かけをした。

そしていよいよ、プレゼントを何にしようかと誕生日が待ち遠しくなってきた頃、ついに打ちに行くと決めたようだった。日時を決め予約をとった。
待つことの大切さをまた実感した。

当日 時間が近づくと落ち着かない様子もあったが、何の注射でなぜ必要なのかを自分なりにネットで調べたりしていた。

打つ直前には「どれくらい痛いですか?」と医師に質問していた。
「痛みの感じ方は人それぞれだけど、そうだな〜、例えばインフルエンザはワクチンの量が0.5mlなんだけど、今回のは0.1mlだから5分の1だね!チクッとはするけどすぐに終わるかな〜」と医師が答えていた。
さすが小児科の先生だな!!


息子には感情論や倫理的な話ではなく、具体的な説明が必要なんだなと改めて思った。
自分で考え 調べ 質問し 納得したいんだな。
それは親が教えなくても、こうして誰かから学んでいくんだ。誰かが不安を和らげてくれるんだ。誰かが力をくれるんだ。

そんなことを思いながら、息子の斜め後ろを歩いて帰った。小雨が冷たい日だった。

息子はクリニックでご褒美にもらったアメを食べようとしていた。170cmの男子にはちょっと似つかわしくない可愛いキャラクターの描かれた袋を開けながら言った。
「全然痛くなかったわ!ってか、このアメ、なんか子どもっぽくね?!」


もう「母子手帳」の役目は終わったのだ。



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