詩画集「胡蝶の夢」
胡蝶の夢
夢か現実か、はっきり分からないさま
人の世の儚い事
人生の儚い例え
胡蝶の夢・黄昏
夢のように儚い闇
漂い震え 迷い怒り
此処ではない何処かを夢に見て
夢を夢見て色はなく
この孤独を綴る日々よ
この胸の痛みは過去の思慕
乞い続けた思いの欠片
黒蝶の瞬き
逝く人と共に彼岸へ飛び立つ
何もない思考の荒野
立ち尽くし見渡せば
煙る慕情、あふれる涙
自身の黄昏を先に見る
「愛しい日々よ」
笑える明日を乞い願う
啓示
黒蝶の来訪
別れの言葉
それはヒラヒラ、ヒトヒラと
頬に触れ、告げる真実
別れの予感を意識しながら
知っている今に目を閉じる
終わりの場面も悪夢のように
「嘘」を何度も繰り返す
知っている、形あるものは何時か終わる
知っている、永遠などありはしない
それでも人は夢を見る
「明日」を知る人は真実を胸に
旅立つ心は、もう此処にない
虚ろな眼を空に向け
彼岸と此岸の境で船を待つ
残して逝く思いを言の葉に
定められた命の終わりと
黒い一羽を映し身に
永遠の終わり
何時しか再会の約束を
心に触れて
去りて飛ぶ
戯れ
消えて逝く
羽を無くした蝶が一羽
夕闇迎える石の上
何も知らぬ強者の遊戯
大空を飛ぶわけを
その理由を問う為に
失う痛みを知りもせず
弱者の心を知らぬとは、なんとも残酷な強者だろう
世界は自分の為にある
信じて、傷つけ、見失い
手にした夢も砂塵に消えて
自身の日暮れに思うのは
無知であった強者の後悔
無垢である彼らへ恐怖の思い
命は一つである事を
あの人の痛みと共に知る
終わる命の雫と懺悔
そして、私がいなくなる
夢幻
何度目かの悪夢を見る
それは、眠れぬほどの恐怖と儚い瞬き
黒い羽根に包まれて
夜のトバリと午睡の錯覚
暗闇から伸びる白い手は
ぬるい感触、悶える覚醒
地獄に続くその指に
意識を乗せて
幻の姿を追い求め、糸を手繰り地の底へ
その闇は誰がいる
胸に残る鉛の様な
感情の名前を見つけるように
蝶の揺らめき、儚い思考
懐かしい残り香に
何度目かの幻視を辿ろ
その背を追っては、かき消えて
陽炎の中で立ち尽くす
後悔という名の愛情は
在りし日の、記憶にない笑顔を作る
悪夢の原始〈枯渇した愛情〉
夢と幻、思慕の箱庭
愛された幻を夢に見て、後悔を重ね積む
今は一時、苦痛と共に
無限の彼方
酔いの闇
(短編)彼岸
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