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記事一覧
痛みを覚える日:寒空のこと(暁月)
痛みと言う奴は本来、《こんなに痛いのか》と、片手剣を握り直しながら考える。
身体中が痛みと重さに苛まれていて走り回るだけでかなり辛いと思う。今頃、《俺の身体》はどの辺を彷徨いてるのやら。身体だけがふらふらしてるなら良いが悪い事に中身がよりによってゼノスなのでこのままモタモタしていては彼奴が俺のフリをしてキャンプ・ブロークングラスに辿り着いてしまう。そうなったら何をするか分からない。いや、大方
表裏の縁Ⅱ:後編《紅蓮》
しっかり数日休みながら栗丸を構い倒して過ごした。
ちょっと遠くまで散歩に行きたいだので休めたのかどうかやや疑問ではあるが仕事中のような緊張はしなかったからヨシとしよう。戦闘も避けておいたし、いくらか体も休まっているはずだ。家で過ごしている最中にモーグリから直接手紙を渡されたが、どうやら不滅隊の連中はあの下衆な坊ちゃんを正式に捕縛して独房へ放り込んだらしい。差出人は偽名になってるがスウィフト大
表裏の縁Ⅱ:前編《紅蓮》
商売の邪魔をしたシェーダーのゴロツキをシメてくれと言う依頼を受けて、黒衣森のそう言う連中を少々調べて回る。
あそこには元々、似我蜂団という盗賊連中が幅を利かせているんだがそれとは別の連中らしい。小規模な野党のような奴等でせいぜい十数人のだと。黒衣森をうろつきながら調べた限り地味な盗みしかしていないようでよほど似我蜂団の連中の方が質が悪いのだが依頼人が積荷をくすねられたのがその小規模な連中なの
真夜中のコーヒー《漆黒》
ー刹。ー
例のごとく眠れなくて、自室で仕方なく本を読んでいた時だ。頭に直接、そう声が聞こえてくる。俺とほとんど変わらない声。真夜中に声を掛けてくることは珍しいから少しだけ驚いて視線を本から持ち上げてしまう。
「……どうした?」
別に俺自身も口から声を出さなくてもいいのだが、誰も居ないのならばこうして返事をするのが常だった。もし誰か居て聞かれていたら、一人で見えない何かと話しているように見
真夜中のコーヒー《漆黒》に出てきた人たち
刹 月影(セツ ツキカゲ)
アウラ・ゼラ族の青年。表の顔は冒険者、裏の顔は復讐専門の殺し屋。冒険者としては忍者として活動することが多いが、あらゆる職種を齧るため、ほかの立ち回りもある程度は出来る。故郷で《忍びの真似事》を継承してきたため、通常の忍術以外に隠し武器や銃の心得もあるが、普段は冒険者に準じた忍者として行動する。目が悪く、自然光、人工光どちらにも弱いため、シェイデッドグラスを愛用する。至
冒険者のお仕事:空賊の追跡《漆黒》
「それでその禄でもない空賊を捕まえてこいと?それを冒険者に頼むか。」
「人手不足なんだと思います……。」
「まあ武術鍛錬がてら受けるか。盗品も多いって話だったな。」
「らしいです。どこかにまとめて隠してるんでしょうけど。まさかいちいち船に積んで持ち歩いてないでしょうし。」
「燃料の浪費になるからな。」
イシュガルドの酒場。あまり治安がいいとは言えない貧民層の出入りが多い酒場、だったと言った方が
影の素顔《紅蓮》に出てきた人
狂い月の絶影(くるいづき の ぜつえい)
黒い仮面で顔を隠し、冴え冴えとした白髪をしたアウラゼラ族の黒服の男。名乗り名は狂い月の絶影。復讐専門の殺し屋を自称し、働きに対して相応の対価を支払うと事を成してくれる。復讐専門とは言うものの、それ以外を受けないという訳ではなく、情報収集や人質の救助なども請け負う。が、最優先されるのは復讐である。仕事の邪魔となれば無害な相手であろうと平気で始末する一方で、