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土(tuchi)
2023年2月25日 19:50
各話一覧はこちらからあのときの光景「もう一度だけ、笑ってくれ」 君の唇が触れた気がした。 私の止まりかけていた心臓が、強く強く動き出すのを感じた。 そうか……私は、まだ、生きていたいんだ。 ねえ、君は…… 君は…… どうして、いなくなっちゃうの……? あれ…… 君は…… 誰……? ……あれ、そんなひと、いたっけ……?2000年3月”キーンコーンカーンコーン
2023年2月10日 20:15
各話一覧はこちら1999年7月7日 それぞれ、別の場所で二人は呟いた。『あいつは、あの場所へ向かうはずだ』「タリムは、あの場所へ来るはずだ」『私たちが出会ったあの場所へ……』「俺たちが出会った場所こそ、全てを終わらせ、始めるのに相応しい」 タリムは走り出した。 少年は歩き出した。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~その頃の茨 茨はいつもの白衣姿に、ケー
2022年11月11日 21:01
第一話はこちら前回はこちら1999年4月”寅子” 私はタリムちゃんと喧嘩して、その後学校で不審者が暴れて私は怪我をして入院していた……らしい。 退院した後、タリムちゃんがちょっとおかしい。 私の知らない男の子の話をしてくる。 私に仲が良かった幼馴染の男の子なんていないのに。 誰かと勘違いしているのかな? タリムちゃんはホームステイで、家を空けている近所の人の家を借
2022年10月28日 21:55
第一話はこちら前回はこちら タリムは終焉の王を倒して気を失った。 僕はタリムの耳当て型通信機を使って救援を呼びかけた。 機関の救護班はすぐにやってきたが……。 それから約半月後。このままさよなら?1999年2月 タリムは家に帰ってこない。 学校にも来ない。 PHSはアハトに壊されたまま。 家の電話から機関への連絡はつながらないし、建物に行っても追い返される。 な
2022年8月26日 18:53
前回はこちら第一話はこちら襲撃 僕たちが振り向くと、後ろにアハトがいた。 それも、武装した状態で……凄まじい殺気を放ちながら。「八戸……なんのつもりだ」「今日一日、遠くから見させてもらったよ」 小さな銀色の蝶がエーリュシオンの髪から離れていった。「いつの間に……。お前またストーキング……」「これが神そのものであれば誓ってしないさ。神の身体を乗っ取る不届きな悪霊め…
2022年8月19日 20:54
第一話はこちらから前回はこちらから1998年12月31日 私は、ずっと見ていた。 あの大きな逞しい背中を。 あの狂気に染まっていく優しい眼差しを…… どうしても救いたかった。 決して振り向いてくれなくても。 例え、彼を裏切ることになろうとも。 千年、私は待ち続ける。 大晦日でゆっくり『なんか、変な夢見てさ~……』「どんな?」『こう、戦記物で王様にずーっと
2022年8月12日 20:41
前回はこちら第一話はこちらクリスマスの約束 数日して、クリスマスの朝、教室で。「今日はクリスマスか……」 何気なく僕はそう呟いた。「おーおー、お前も俺たちクリボッチ組の仲間入りだな!!最近ずっと一人でいるもんな!!」 男子生徒のひとりが声をかけてきた。「うるせー、元々僕はそんなもん嫌いだ」 ふと、横から視線を感じた。「……タリム」『……』 タリムは無言で視線を
2022年8月5日 20:23
前回はこちら第一話はこちら1998年12月 カーティス撃破後。 二週間ほどして傷が回復したタリムが博士の指示でカーティスが守っていた隕石を調査した。 内部はただの空洞でテンタクルズが複数いた痕跡はあったが、これといった目ぼしい発見はなかった。 僕はその間黙々と身体を鍛えながら、自分の出来ることを探していた。 タリムは、さすがに気落ちしているのを隠し切れないでいた。~~~~
2022年7月15日 21:18
前回はこちら第一話はこちら1998年11月”ジュ~~~~” 朝起きると、いい匂いと音がする。 ああ、夢か。 女の子が朝から僕のために料理してくれる夢。 前は良い夢だと思ったら現実の悪夢(?)だったからな。 エプロン姿のタリムが空のフライパンにフライ返しでコンコン叩きながらやってきた。 ……なんか、コスプレみたいなエプロンドレスに猫耳なんだけど……まあ、これは夢だからな。
2022年7月8日 21:54
前回はこちら第一話はこちら今回は短め寅子サイドストーリー1998年10月体育祭後、寅子の家「で、彼とは上手くいってるの?」「え?なんのこと?」「まーた、とぼけちゃって!!初恋の彼がせっかくこの町に帰ってきたのに……」 少し離れた場所で暮らしている大学生の姉が一時的に家に帰ってきた。「……」「え、本当になにもないの……?」「う、うるさいなあ!!!ねえさんこそ彼
2022年7月1日 20:51
前回はこちら第一話はこちら。1998年10月 茨先生は僕の耳元でそっと囁いた。「女の子はすぐ成長していくものなの、目を離しちゃダメよ」 夢か……うーん、なんであのときの夢を見たんだ? だいたいあいつ、普段はマイペースというか、変わらないっていうか。 朝はTシャツ一枚に下パンツで寝ぼけてて、口にパンくわえさせなきゃいけないからな。いつまでも大きな小学生みたいな……。 ト
2022年6月24日 20:33
前回はこちら第一話はこちら1998年9月、自宅『あのさあ』「うん?」 日曜日。僕とタリムが家のリビングで横に並んで座布団の上でテレビを観ていると、タリムが話しかけてきた。 当たり前のように家にいるが、コイツの気が済むまでは……一緒にいるのも慣れてきたしな。 「おやつなら三時になってからにしろ。あと三十分の我慢だ」『私をなんだと思ってるの?!いつもハラペコのワンコか?!』
2022年6月15日 23:18
タリムの誕生日記念で限定公開。本来は終盤で明かされる予定の過去エピソードです。今話は過去編の後、第一話が始まる直前のお話。過去編(第四話)はこちらから。1998年6月15日、機関『……二ホン?』「ああ、今日からこの国で過ごすんだ」 私の護衛、黒鵜先生がそう言った。『私って、この間までどこの国にいたの?』「機密事項だ」『えー……。どーせまた、ほとんど外に出られないんでし
2022年6月15日 22:27
前回はこちら1998年9月 茨先生は僕を他の部屋へ連れて行き、話を始めた。 タリムはついてこなかった。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~1990年(八年前) 現在のタリム達が住む町から少し離れた山奥に、隕石が落下した。 黒鵜、茨、アズニャル博士が所属する機密機関はその調査をすべく、準備をしていた。機関施設 黒鵜と、金髪の優男……カー