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RADWIMPSの物語は、『君の名は。』の先へと続いていく
【RADWIMPS/『ANTI ANTI GENERATION』】
凄い。
全編にわたって、圧倒的な自信と確信に満ち溢れている。もはや、全能感、王者の風格さえ感じさせる作品だ。
1枚のアルバムが放つエネルギー量としては、明らかに常軌を逸していると言えるだろう。
この2年間、RADWIMPSが紡いできた「『君の名は。』以降」の物語が、見事に、そして思ってもいなかった形で結実している。
自分たちを真の国民的バンドに押し上げた『君の名は。』に完全に決着をつけながら、野田洋次郎は、その狂おしい創造性を加速させ続けているのだ。
何より恐ろしいのは、時代と完全にシンクロした成功体験を持ちながらも、決して保守に転じていないこと。
世間との摩擦を恐れることなく、先鋭的な表現を徹底的に追求し切った結果が、全17トラックの大ボリュームを誇る今作『ANTI ANTI GENERATION』だ。
シンセのリフが鮮やかに煌めくスタジアム・ポップ"NEVER EVER ENDER"。
実験精神と反骨精神、そして鋭い悪意とユーモアが凝縮された痛快なラップチューン"PAPARAZZI 〜*この物語はフィクションです〜"。
あいみょんとのデュエットが実現した、上質な歌謡ロック&ソウルナンバー"泣き出しそうだよ"。
ホーンセクションを迎えた豪快ジャズナンバー"TIE TONGUE"。
そして、NHKの特別番組「18祭」を通して生まれた合唱曲"正解"。
無数のジャンルを軽やかに往来し続ける、未知の音楽体験がここにある。
もちろん、Taka(ONE OK ROCK)とコラボレーションを果たした"IKIJIBIKI"といった、爆発力の高いギターロックナンバーも健在だ。
矛盾する表現ではあるが、総合力が尖っている。
断言してもいいが、そんな特異なパラメーターを持つ音楽アーティストは、広い世界を見渡しても野田洋次郎の他にいない。
緻密で暴力的、ロジカルでエモーショナル、そうした数々の矛盾を孕んだ混沌のミクスチャー・ロックは、RADWIMPSにしか鳴らすことができないのだ。
だからこそ、『君の名は。』(および、『人間開花』)という歓喜の季節の先に、原点回帰的な今作が届けられたことがとても嬉しい。
時代の必然として避けて通れないヒップホップやビートミュージックとの融合、そして、コラボレーションという制作アプローチなど、野田のソロプロジェクト・illionから輸入されてきた要素も大きい。
バンドのクリエイティビティが、より自由に、より大胆に、外の世界に向けて開かれているからこそ、今までになかった音楽的な幅、深度、そして強度を獲得している。
その結果として、今作は、全世界7つの国と地域で、ロック・チャート1位を記録した。
日本の音楽シーンに、RADWIMPSというロックバンドがいることを、僕はとても誇らしく思う。
※本記事は、2018年12月22日に「tsuyopongram」に掲載された記事を転載したものです。
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