干し芋を干す道具の名前の不思議
こんにちは。
干し芋の鶴田商店です。
今回は、干し芋の製造の番外編として、干し芋作りには欠かせない道具「簾(すだれ)」についてご紹介します。
1,簾(すだれ)の名前の由来
干し芋作りで必須のこちらの簾(すだれ)。干し芋を並べて乾燥するための道具です。でも、なぜこれが「簾(すだれ)」と呼ばれているのか不思議ですよね?
こちらが、昔の干し芋作りの風景の写真です。こちらは、まだ干し芋生産が、茨城県より静岡県の方が盛んな時代です。
おわかりになりましたでしょうか。そうなんです。昔は、日除けなどで使われる「簾(すだれ)」の上に干し芋を並べて乾燥をさせていました。
表面がつるっとした素材の藁や竹が使われていること、すき間を残して編み込まれていることで、作業性も良く、乾燥するための風通しも良いことから干し芋の乾燥に使用されたのでしょう。
干し芋の道具として、昔使われていた簾(すだれ)ですが、形は変わった現在も同じ名前の簾(すだれ)として、干し芋の作り手の方々に愛用されています。
2,簾(すだれ)の歴史
簾(すだれ)は、竹や葦などを編んで部屋の仕切りや窓、軒先に垂らされ、日よけや目隠し、虫よけなどの目的で昔から現代まで使われており、夏の風物詩です。
その歴史は、「万葉集」に簾を詠った短歌があることから、少なくとも奈良時代まで遡ります。
簾は、横方向に垂らす形状の「掛け簾」や縦方向に立て掛ける形状の「立て簾(たてす)」、そして、ヨシを素材として編まれた「葦簀(よしず)」などもあります。現代でも、使い勝手の良さや見た目の良さから根強い人気を持ち日本中で使用されています。
簾の生産は、日本では1970年代頃までは国産が多かったが、河川改修などにより材料の葦の生産地が減ったことで中国産の比率が高まりました。
3,干し芋作りの簾(すだれ)
干し芋生産量日本一の茨城県では、干し芋作り用の簾は、ホームセンターでも販売されています。茨城県民にとって、この簾はとても身近な存在です。そして、一般的な簾は、夏の風物詩、干し芋の簾は、冬の風物詩。茨城県は一年で二度も、簾の風物詩が楽しめますね。
干し芋用の簾も、昔からの木枠タイプ、アルミなどの金属枠タイプ、プラスチックなどの樹脂製タイプなどたくさんの種類があります。干し芋を並べる網も種類が豊富で、網目の形状が四角いもの、格子状になっているものなどさまざまです。
種類が異なる簾で乾燥した干し芋は、乾燥具合も変わり、完成時の味や食感にも変化をおよぼすことがあります。また、簾のメンテナンス方法も素材によって変わってきますので、種類によって、メリットデメリットが異なりますので、干し芋の作り手は、いろいろと使い試して、自分たちの干し芋作りに最適な簾を選んで使用しています。
以上、干し芋作りの番外編として、簾(すだれ)をご紹介しました。
現在の干し芋の簾から昔の干し芋の簾、そして、夏の風物詩の簾につながりひとつのことから物事をたどっていくといろいろなことにつながっていることに気が付き、発見がありとても面白いと思いました。
次回は、また引き続き、干し芋作りのご紹介に戻ります。
ぜひ、お楽しみに。
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