詩|空に書く
いま、伝えたいことを夜空に書いてみる
純白のインクで星のいない夜を選んで
「大好き」と「ありがとう」をひとおもいに
琥珀色の半月が少し憂鬱そうに傾いても
ほろ苦く甘酸っぱい想いがこぼれ落ちても
文字は星になんてなれないのを知ってる
インクがこぼれて白黒の夜に戸惑うけれど
ふたりが見ていたものはたしかに星だった
どんなに心が泣いたって笑う方が楽だった
傷ついたふりをしてまで弱さを馬鹿にした
欠けてしまった月と心を上手に貼り合わせて
はみ出た部分を削ぎ落としてしまえば終わり
あした、青空に雲のいない晴れを選んで
透明なインクで「さよなら」って書くから
空に書く / 月乃