福田平八郎の跳躍力───没後50年雑感
福田平八郎が晩年1966年に描いた「鯉」という作品が、「没後50年記念 福田平八郎×琳派」で展示されている(山種美術館にて12月8日まで開催)。
濃いグレー色のぼてっとした鯉がじっと動かずにいる。静物画のようだ。中にあんこが詰まっているのではないかと思われるほど躍動感がない。鱗の1枚1枚を欠けることなしに描いた出世作の「鯉」や、花に向かう小さなハチの羽音が聞こえてきそうな移ろう季節の花ばなや虫たちを細密に描いた写実性と装飾性を兼ね備えた作品を手がけてきた同じ作家の作品とは思