企画展「やまなし土偶探訪」(釈迦堂遺跡博物館)雑感

中央高速道を東京方面から走り、笹子トンネルを抜け、勝沼インターチェンジを過ぎるとすぐに釈迦堂パーキングエリアがある。ここで車を停めて、重いスライド式の鉄の扉を開けると、パーキングエリアに隣接した釈迦堂遺跡博物館だ。中央道は渋滞を避けて早朝や深夜に走ることが多いのだが、昼間に走るときのお楽しみが、この博物館だ。

2024年12月23日まで開催している企画展「やまなし土偶探訪」はお薦めだ。山梨県各地で出土した普段はあまりお目にかかることが少ない土偶たち200面が展示されている。縄文時代中期の人々がつくった、さまざまな表情を持った顔が出土した地域ごとにずらりと並んでいるのだ。

長野県茅野市の棚畑遺跡から出土して国宝に指定されている「縄文のビーナス」のような土偶は、主に妊娠した女性をかたどっているので、安産祈願を祈る道具だったと考えられているが、ここに展示されているのは、もっと地味で、姿かたちも多様だ。土偶が持つ表情やつくりが一つ一つ違うので、縄文人たちが何を思ってこれらの顔面を作っていたのか、数千年の時を超えて思いをはせるのが楽しい。

「土偶の魅力は、その神秘的な造形と古代文化とのつながりにあり、儀式や祈願、呪術的な意味があったと考えられる」と解説にはあるが、今回の企画展でみられるのは、神秘的でも呪術的でもない、もっと素朴な表情だ。土偶の表情の素朴な豊かさはシンプルで、写実から離れてデフォルメされ簡略化されたカタチは抽象性が高い。これが逆に、縄文人がどのように暮らしぶりから、このような面を作ったのかと、想像が膨らむのだ。http://www.eps4.comlink.ne.jp/~shakado/concept.html

土偶とは違うが、日本全国から埴輪が大集合する特別展「はにわ」が、東京国立博物館平成館で10/16から12/8まで開催される。こちらも要チェックだ。

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