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#写真家
麻痺
人の価値観は負の感情を中心に形成される。失ったものの数や大きさ、またはそれを自己認識する感度の鋭さには個性がある。だからこそ同一の価値観など存在しようがない。対して一時的な幸福や喜びは人の感情を麻痺させて快楽を与える。それから醒めた時に自分を見失うか否かで確固たる価値観の有無を自覚できる。
ISO400
f5.6
1/13s
変化
喜びも楽しみもない。変わらない毎日にほとほと愛想は尽きている。特に何かをする気力もないが、暗い部屋でじっと過ごすのも飽きてしまった。そんな日々にせめて灯の一つでも点ればと思い、懐にカメラを収めて一年が経過した。見ている景色の明るさは相変わらずだが、目を凝らさなくても光の粒を感受できるようになったのは変化と言っていいだろう。
ISO800
f10
1/13s
ハイライト
9月になった途端に秋の到来を示唆する文言が急に増えたが、何を以て秋としているのだろうか。確かに晩夏であることは玄関先の蝉の死骸や彼岸花の開花で感じ取っている。しかし、蝉の鳴き声は止んではいないし、青々しい空には白いハイライトが似合っている。だから自分は薄味になった夏を未だに噛み続ける。金木犀が香るまで。
ISO100
f16
1/320s