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「一瞬で恋に落ちて、次の瞬間には恋人同士になる。そんな恋をしたことはありますか?」 午後…
ひどい言葉を心のなかでつぶやくたびに ああ、だから幸せになれないんだと思う そういう君の…
まるで本を読んでいるかのように どこか遠く、他人の経験を語るように 君は記憶を辿りながら、…
さようなら そう呟いて消えていく君の夢を何度見ただろう 君の指に絡めた自分の指をするりと…
狂気を孕んだ瞳は 零れ落ちそうなほどの涙を湛えている 辛いときほど 悲しいときほど ずっと…
やわらかな朝を迎えるために今日の棘を抜いた 朝を迎えると、棘を抜いた傷が疼いている 昨日…
水蜜桃に寄せた君の唇から 零れそうな果汁 泣き腫らした君の眼はまだ少し充血していて 鼻先も少し赤い 朝の光が磨り硝子を通って柔らかく届く部屋は ほんのりとあたたかく 春から夏への知らせが届いたような 冬と春へのサヨウナラを言いそびれた気持ちになる こっぴどくフラレたらしい君は 恋をしていたんだと、鈍い僕は今知った 亦ふたたび心を震わされることがあるかもしれない ある日突然かもしれないし、小さく弱くほんのりと、すでに始まっているかもしれない 揺さぶり揺さぶられる 惹き
どれだけ砂をかき集めても、指の隙間から零れ落ちるように、君と繋いだ指先は、きつく結んでも…
少しずつ、君の記憶が遠のいて行く 時間とは、優しいのか、それとも残酷なのか 残像には、優…
外は柔らかく穏やかな日のような気がしている 窓から入る光は明るく、刺さるような暑さもない …
閉じこもった世界に、君はいる 古いアパートは銀色のアルミサッシの窓枠で、君はその窓を半分…
ある日の午前中 森の中に入って空を見上げると、水滴が落ちてきた 湿った空気の肌感と、視界…
お手紙どうもありがとう。ポストの郵便物にお手紙が混ざっているなんて久しぶりだなと、心が少…
君宛の手紙を書いた 元気にしていますか 僕は初めて南国にバカンスにやってきました 南国にバカンス?僕が? きっと君は訝しがると思いますが、本当です その証拠に、プールに綺麗に浮かべられた花の写真を送ります プールの青と、花の派手な色に陽光があたり、全てが明るく華やかな世界になっています 僕には少し眩しすぎる世界ですが 僕は今、手紙を書きながらグラスに花の添えられたお酒を呑んでいます いつかは君と旅に出たいなと思ったので、書いています 君はどうしていますか 僕は、湿った木の