恋
水蜜桃に寄せた君の唇から
零れそうな果汁
泣き腫らした君の眼はまだ少し充血していて
鼻先も少し赤い
朝の光が磨り硝子を通って柔らかく届く部屋は
ほんのりとあたたかく
春から夏への知らせが届いたような
冬と春へのサヨウナラを言いそびれた気持ちになる
こっぴどくフラレたらしい君は
恋をしていたんだと、鈍い僕は今知った
亦ふたたび心を震わされることがあるかもしれない
ある日突然かもしれないし、小さく弱くほんのりと、すでに始まっているかもしれない
揺さぶり揺さぶられる
惹きつけ惹き寄せられる
甘い蜜