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「一瞬で恋に落ちて、次の瞬間には恋人同士になる。そんな恋をしたことはありますか?」 午後…
ひどい言葉を心のなかでつぶやくたびに ああ、だから幸せになれないんだと思う そういう君の…
雨のない梅雨の一日 紫陽花は今年も咲いている 言葉巧みに誘い出された僕は 数日ぶりに外の景…
生き方を見失ったように、君は呆然と……膝を抱えたまま転がっている 時計の秒針がコツコツと…
じっとしていると何も感じないのに 少し動くとちくちくする ちくちくすると、ざわざわする ざ…
まるで本を読んでいるかのように どこか遠く、他人の経験を語るように 君は記憶を辿りながら、…
さようなら そう呟いて消えていく君の夢を何度見ただろう 君の指に絡めた自分の指をするりと解いた 君の指は白く細い 君の髪は黒く短い 僕らの間にある薄い層は、動く度に波打つ 残り香から君を辿る 足跡から君を辿る どんなに遊んでも遊び足りなくて 辿り着いた先の君はいつも微笑んでいる 僕はもっと……寂しさを共有したい
狂気を孕んだ瞳は 零れ落ちそうなほどの涙を湛えている 辛いときほど 悲しいときほど ずっと…
やわらかな朝を迎えるために今日の棘を抜いた 朝を迎えると、棘を抜いた傷が疼いている 昨日…
君と僕との出会いは晩秋。纏う空気の冷たさが際立つ日だった。 そのときすでに日は沈み、空は…
君がする約束のひとつひとつが 僕の未来を象って 色付けてゆく 僕が未来に存在することが 許…
水蜜桃に寄せた君の唇から 零れそうな果汁 泣き腫らした君の眼はまだ少し充血していて 鼻先も…
どれだけ砂をかき集めても、指の隙間から零れ落ちるように、君と繋いだ指先は、きつく結んでも…
少しずつ、君の記憶が遠のいて行く 時間とは、優しいのか、それとも残酷なのか 残像には、優しさと残酷さのどちらが残るのか 心だけが取り残されたような気がして 食卓に、寄せては返す波のようなカーテンの影を ぼんやりと目で追いながらつぶやく さようなら この意味を、君ならどう捉えるのだろう 僕にはもうその答えを知る術がない ベランダに咲いている薔薇は 今年もきれいに花を咲かせている 棘は、相変わらず僕を攻撃する 僕は、相変わらず棘に攻撃される 痛みを知るために