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記憶

まるで本を読んでいるかのように
どこか遠く、他人の経験を語るように
君は記憶を辿りながら、訥々と語った

君の記憶は、僕には更に遠く
僕にとっても物語のよう

その中にある君の感情は
僕の想像を遥かに超えていて
静かに揺さぶられている

記憶を辿る旅に出かける前の君は
どこか無口で、緊張していた

夢ならば良かったのか、なんて言えない

行動と感情が剥離している
記憶とは残酷なときもある

薬缶の湯気がのんびりと立ち上る様を
息を潜めて目だけで追いかける

君の終わりのない旅に
僕も一緒に出掛けよう


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