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散文 君と僕

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君と僕との紡ぎ詩
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2023年5月の記事一覧

水蜜桃に寄せた君の唇から 零れそうな果汁 泣き腫らした君の眼はまだ少し充血していて 鼻先も…

つつむ

どれだけ砂をかき集めても、指の隙間から零れ落ちるように、君と繋いだ指先は、きつく結んでも…

痛み

少しずつ、君の記憶が遠のいて行く 時間とは、優しいのか、それとも残酷なのか 残像には、優…

やわらかな朝

外は柔らかく穏やかな日のような気がしている 窓から入る光は明るく、刺さるような暑さもない …

小さな世界

閉じこもった世界に、君はいる 古いアパートは銀色のアルミサッシの窓枠で、君はその窓を半分…

居場所

ある日の午前中 森の中に入って空を見上げると、水滴が落ちてきた 湿った空気の肌感と、視界…

手紙 -お返事-

お手紙どうもありがとう。ポストの郵便物にお手紙が混ざっているなんて久しぶりだなと、心が少しうきうきしました。 消印を見て、君だとすぐにわかりました。 そして、内容を見て思わず笑ってしまいました 南国へのバカンス。 想像力を働かせて書いたのでしょうけれど、行ったことのない南国でのバカンスを想像するのは容易くはなかったでしょう きっと君は、雨の日に自分の机に向かって、珈琲を飲みながら書いたのでしょう?そして、雨の中ポストに出しに行ったではないかと思っています だけど僕に

手紙

君宛の手紙を書いた 元気にしていますか 僕は初めて南国にバカンスにやってきました 南国にバ…

揺らぎ

柔らかな陽射しの中 木漏れ日のきらきらの中 雨上がりの透明な空気の中 胸がぎゅっと苦しくな…

小さくて脆い僕ら

君が泣いている夢を見た バス停のベンチ ぎりぎり雨に濡れないその場所で、君は隅っこに座り…

複雑なものと君と

複雑な感情を抱えた日 複雑な、とは怒りや悲しみに加えて、それらを抑え込もうとする思考も含…

君と僕と、僕と君

珈琲を片手に窓際から外を見ている 外は雨が降っていて、午前中にふらりと出たときは肌寒かっ…

午後3時の憂い

君との会話を思い出す 「ねぇ、どう思う?」 「なにについて?」 珈琲カップから立ち上る湯…