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凪ぐ

生き方を見失ったように、君は呆然と……膝を抱えたまま転がっている
時計の秒針がコツコツと音を立てて、まるで急かしているかのように響いている

起き上がり小法師みたいだな、と君の後ろ姿に思う
タンクトップに短パン、その隙間が腰にあって肌が見えている
泣いてもいない
息はしていると思う
湿った部屋の壁は黄土色で、柱は焦げ茶
時計の針は10時13分

辛いとき、自分は世界で一番悲しい人と思う
嬉しいとき、自分は世界で一番幸せな人と思う

そんな風に生きなくてもいいんだと、知らなかった

時間薬が効かないこともあると、知らなかった
それでも、世界は回り続けていて、地球は僕らをないものとして回っている
無、だから

いつか、凪ぐかもしれない
悲しみの記憶を持ったまま

手を、伸ばしてみるのはどうかな


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