椿

20代半ば しがないOL。 ごはん×恋愛をテーマにエッセイを書きます。 美しい思い出は美味しい食事と恋の記憶でできている。 恋愛以外の話もたまに書きます。

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20代半ば しがないOL。 ごはん×恋愛をテーマにエッセイを書きます。 美しい思い出は美味しい食事と恋の記憶でできている。 恋愛以外の話もたまに書きます。

最近の記事

エッセイ*銀だことほっぺい

先週のことである。 わたしは地元の駅なかをブラブラと歩いていた。 コロナ明けのどことなく浮き足だった大勢の人並みのなかを、35度を超える酷暑の空気の中をぼうっと歩いていた。 ふと真横を通り過ぎた男性を思わず二度見した。 かんちゃんだ。 かんちゃんはわたしが初めて付き合った男の子。 華奢で女の子みたいな顔をした子だった。 最後に会ったのはもう10年近く前になる。 かんちゃんは相変わらず、綺麗な顔をしていて、だけど随分当時より垢抜けた様子だった。 かんちゃんのほ

    • エッセイ*カンパリオレンジと答え合わせ

      随分と前回の投稿から時間が空いてしまったけれど、その後本当に色々あったので更新することにした。 最後の投稿の中華丼の彼、将来を考えられない、私の片想いだった彼、その彼が今バーのカウンター越しに立っている。 2年ぶりくらいになるかしら。彼から突然連絡が来た。 もうそろそろ終業時間だという、木曜日の夕方に突然。 お互いの近況を報告し合うと、彼に海外赴任が決まったと伝えられた。 そうなの。おめでとうとだけ伝えたが、 私は最後に会ってみたいなと思った。 もはや恋愛感情は無

      • エッセイ*未練タラタラの中華丼

        割と最近の話。 zoomで社内のなにかの説明会があって、参加者が50人近くいたと思う。 こんなにいるなら寝ててもバレないかななどと思いながら聴きながしていたが、主催者が顔見知りだったため、話題を振られてしまった。 「椿さん!ここについてなにか意見ある?」などといった無茶振りだった。 あたふたしながら適当に答えた。 どうにもこういう説明会では無茶振りのリアクションを求められることが多い気がする。 少し疲れたので、帰宅して早めにベッドの上に横たわった。 しばらくして

        • エッセイ*坦々麺大作戦

          これまた学生の時分の話。 といっても今回は大学生の時。 入学して間も無く、アカペラサークルへ入会した。 生まれてこの方、クラブや部活動は音楽系ばかりであったが、音楽系の集まりの人間関係はあまり得意ではない。 思えば大勢の女の中に少し男がいるという場合の人間関係は大抵良い方は転ばない。 少数派の男に好意を向けられ、それゆえに女たちのコミュニティへ入れないという、ルートへ強制的に引き込まれてしまう。 純粋に音楽を楽しみたいだけなのに、ろくな目に会ったことがない。 話

          エッセイ*パンケーキが増えた

          失恋をした。 7回もデートしたのに、連絡が取れなくなった。 8回目のデートは3回ドタキャンされて、 挙げ句の果てに、 「女の子を紹介して欲しい」と頼まれた。 静かにLINEをブロックして、私は記憶の中で3番目に美味しかったパンケーキ屋へ向かった。 土砂降りの日で大荷物、身体も心もボロボロの状態で一人店内へ入る。 革張りのレトロなソファ。 リコッタチーズパンケーキを一つください。 注文してから焼き上がりまで30分程かかるので、残っていた仕事を片付けた。 今にも

          エッセイ*パンケーキが増えた

          エッセイ*勇気の源 ヌテラパン

          注意:今回恋愛要素はゼロです。 恋愛経験に限りありますので、単なる食いしん坊の人生についてです。 高校生の時分にフランスへ行きました。 2週間ホームステイをして現地の学校と交流したり観光したりというプログラムに参加した。 そこでなぜか自分だけホームステイ先が皆とかなり離れた隣町だった。 徒歩で通学する人が大半の中、バスを乗り継いで通学しなければならず、 結構苦労した。 バスに乗れば現地の学生に「ニーハオ」などとからかわれて怖いし、 そもそも複雑な通学路を覚えるのに疲

          エッセイ*勇気の源 ヌテラパン

          エッセイ*ドーナツと漁師像

          「ねえ。デザートにバスクチーズケーキ頼みたい。」 ダメと言われても注文するつもりだけど、一応聞く。 「俺はプリンにする。」 絶対に頼むと思った。プリンは彼の大好物だ。 思えば好きな人の前で好物を食べられるようになったとは、 私も随分大人になったものだ。 こんなことでと思われるでしょうが、好きな人の前では食べ物がのどを通らないような面倒くさい性分の女の子でした。 象徴するような思い出がある。 まだ高校に上がったばかりの夏休み明けごろの話です。 中学まで恋人なんて

          エッセイ*ドーナツと漁師像

          エッセイ*バナナブレッドとSUSHI丼

          先週より気温が4度ほど下がったらしい。 それでも酷暑の東京であったのだから、 28度近くあるのだが、人間というものは秋を感じると暖かいものが食べたくなるものだ。 「ポトフが食べたいかも。」 心の中で独り言を言いながら、スーパーの野菜売り場を物色する。 ここのところは物価上昇が激しく野菜はどれも高い。 おとなしくキャベツだけかごに入れた。 果物などなおさらだ。 ももが先週より100円も高い。 私の最終奥義的ストレス発散アイテム、ももモッツァレラも今年は終わりかと思

          エッセイ*バナナブレッドとSUSHI丼