生まれながらにしての天才は、いるのか その2
ちょっと長くなりそうだったので2回に分けましたが、昨日の記事の最後にこんなこと書きました。
こちらの本文は以下のリンクからご覧いただけます。ぜひ「その1」もご覧ください。
さて、天才の話。以下持論なのでご了承ください。
結論から言うと、天才と呼ばれる人とそうでない人の違いは、ターゲットになった物事に対しての経験値の差だと思います。
例えば、野球をやったことがない2人がいて、でもそのうちのひとりはボール投げをやったことがあったり、ゴルフやテニスの経験があったら、差がでますよね。
音楽を専門に勉強していない2人がいたとして、そのうちの一人は、お母さんが歌が大好きで、家の中には歌や音楽がたくさん流れている環境だったら、きっと差がでますよね。
人と関わること、知識を蓄えること、外でおもいきり体を動かすことなどを経験していると、基礎力が身について様々な場面に無意識に応用できるようになると考えています。
僕はレッスンで、トランペットはフィジカル(肉体的)の知識だけを理解しても良い音楽は作れない、とよくお話をします。そこには音色に対するイメージだとか、音程を美しく歌える力とか、アゴーギクが自然に生まれる歌い回しを知っているとか、こんな演奏をしたい、そして自分の演奏を聴く人へ届けたい、といった具体的音楽的イメージが絶対に必要だからです。
話を戻して、初めてなのにトランペットから音が出せた子が、きっとそれまでに経験していたであろう音楽に直接関係ない行為を挙げてみると、
こういった行為だと考えます。トランペットを吹いている方なら何となくご理解いただける内容だと思います。
トランペットから音を出すためのフィジカル面は、それほど特殊なことはしておらず、あくまでも人間が持っている体の機能からチョイスされたものをバランス良く使っているだけです。ただ、そのチョイスやバランスを少しでも誤ると音が出なかったりするわけで、その時、目の前でトランペットを見本として吹いている人がいた場合、その人をどれだけ観察し、ものまねできるか。そうした観察眼やイマジネーションが備わっている子ほどすぐに音を出せてしまう確率が高くなるわけです。
ですので、今回の話としてはトランペットからすぐ音が出せたから「この子天才なんじゃないか」などと大人は(何かと比較して)言いたくなってしまうわけですが、その子の歩んできたこれまでの経験がバランスよく発揮できた結果であると僕は考え、結果として生まれ持った天才はいない、と言っています。
もちろん、自身の経験から必要なものをバランスよくチョイスできる能力に対して言えば、頭の回転が早いと言えるかもしれません。
というお話でした。あくまでも僕の持論です。
荻原明(おぎわらあきら)