鳥野 小川

大体週1回、日曜に小説を投稿するアカウントです。長編はNolaに載せています。 思いついた話から書きます。楽しんでいただければ幸いです。

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マガジン

  • 長めの小説まとめ

    自作小説1万字~10万字程度の話のまとめです。世界線が同じものもあれば違うものもあります。

  • 短編小説まとめ

    自分の作った小説の中で4千字~1万字程度の話をまとめたものです。明るい話、暗い話はバラバラですが手軽に読める程度の短い話ばかり集めました

  • 三人組シリーズ他まとめ

    くだらなくて騒がしいが、仲良しな三人組の話のまとめ。または同じ世界線にある話のまとめ。ひとつひとつ独立しているので全部に目を通さなくても読めます。

  • 不完全なワンダーランド他まとめ

    不完全なワンダーランドと同じ世界線の話をまとめたものです。妖怪など人外がでてくる現代ファンタジー、または和風ファンタジー。

最近の記事

  • 固定された記事

三人組シリーズ 時系列と関係性

今回は小説ではなく、ちまちま書いている三人組シリーズの登場人物および時系列についてのまとめです。 本当は順序よく出したかったのですが、如何せん私が思いついた話から無計画に書いていくので、時系列がぐちゃぐちゃ、おまけに投稿頻度もまちまちと、実に不親切な状態となってしまったのでここで一度整理しておきたいと思います。また新たな話の度に追加・変更する予定です。 *()の年齢は一番初めに出した「夏、いつもの始まりを」を基準にしています。 登場人物 メインの三人組火上光太(高1):小麦

    • 【小説】ある天狗の昔話 下

      天狗の里に攫われてきた少年、庄吉とひょんなことから交流をもつようになった烏天狗の猿彦は、いつしか少年との会話を心待ちにするようになった。しかし穏やかな日常の崩壊の足音は近づいてきていて―― 以前書いた「のけものけもの」に出てくる天狗、猿じいこと猿彦の昔話。 下記の話の続きです。これで番外編も終わりとなります。長くお付き合いくださり、ありがとうございました。 「……もうこんな時間か。わしはもう行く」 「猿彦、もういくんか?」  庄吉は引き留めるように猿彦を見つめた。最近は

      • 【小説】ある天狗の昔話 上

        以前書いた「のけものけもの」に出てくる天狗、猿じいこと猿彦の昔話。カワウソの権次郎も少し。 上記の話の番外編です。長くなったので上下にわけます。 本編も長いのでお時間のある時にお読みください。  尾曾山の「こちら側」は霧がたちこめ、眼下に広がる森を白い薄布の下に隠してしまっている。木々が濾した空気は澄みすぎていて、雑多なものが入り混じる世界に慣れた人間には少し辛かろう。  そういえば、子どもとはいえあの子もこの排他的な空気は感じ取っていただろうに、嫌がりもせず、誘えば律儀

        • 【短編小説】バナナ・バナナ・バナナ

          とにかくバナナ! ひょんなことからバナナを大量に手に入れてしまった女のバナナ消費奮闘記  バナナと聞いたらいったい何を思い浮かべるだろうか。手軽に食べられておいしい果物? 朝のデザート? 詳しい人ならばカリウムやビタミンが豊富だと連想するのだろうか。  私にとってのバナナとは、いや今の私にとってのバナナとはそのどれでもない。私にとってのバナナとは黄色い悪魔の名である。甘ったるい香りを私の肌にまとわりつかせ、「もう諦めてしまいなさいよ」と往生際悪く足搔く私を嗤う悪女の名である

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        • 長めの小説まとめ
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          53本
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          12本

        記事

          【短編小説】What a coincidence!

          それは何とも不思議なめぐり合わせ。 ハッピーハロウィン!ひょんなことから英国の妖精ブラウニーと一緒にハロウィンを過ごすことになった小豆洗いの話。 上記の話と世界線は同じですが、読まなくても読めます。  人気のない夜の森にショキショキと響く不気味な音。音をたどって草木をかきわけるとたどり着いたのは川だった。暗闇に目を凝らすと岸辺に誰か座っているようだ。恐る恐る覗きこむと、それは目ざるを持って小豆を洗っているらしい。ふいに人影が振り向く。にやにやと笑う老人の目が妖しく光った。

          【短編小説】What a coincidence!

          【小説】あるタヌキのころび道

          以前書いた「のけものけもの」に出てくるタヌキ、大三郎の七転八倒、失敗ばかりの過去話 上記の話の番外編です。本編は長いので時間のあるときにお読みください。  とある街中に佇む一軒のカフェ「猫又」。猫の置物が店内のいたるところに置かれ、カフェなのに実は店主は熱いものが苦手だという。何年経っても皺一つ増えない彼は中性的な見た目も相まってどこか掴みどころがなく、どうやって見た目を保っているのか、その秘訣を聞きたがる客も多いのだとか。  空には濃紺色のビロードが広がり、布地に埋めこ

          【小説】あるタヌキのころび道

          【お知らせ】多忙であったため、今週の投稿はお休みします。来週は投稿する予定です。よろしくお願いします。

          【お知らせ】多忙であったため、今週の投稿はお休みします。来週は投稿する予定です。よろしくお願いします。

          【短編小説】ものまねのアイ

          それはたしかに愛に分類される、はずだったのに。 アンドロイドが主人を立ち直らせるために亡くなった妻に成り代わる話。  脳の活性化を確認。階下に降りてくるまでの時間、5分と推測。  チンと軽快な音が鳴って、トースターからトーストが飛び出した。画像照合。焦げなし。95%以上が満足する焼き具合であると判定。スクランブルエッグ、ベーコン、サラダの盛り付け位置も良し。コンソメスープの温度最適。栄養バランスに問題なし。 「おはようございます、マスター」  マスターが自室から降りてき

          【短編小説】ものまねのアイ

          【短編小説】秋をすくう

          今年の秋は今年だけ。来年は違う秋になる。 今年の秋を食べる女の話。  部屋中に金木犀の甘い香りが満ちている。  庭からとってきた両手いっぱいの星たちをひとつひとつ丁寧に洗った。ごみをとって、花柄をとって、花の間に小さなお客さまがいないことを確認して鍋に落とす。砂糖でできた氷のかけらを白ワインでじっくり煮こんだ、淡黄色の湖に無数の星たちが散った。  約二分ほど熱をいれたら火を止める。瓶に詰め、粗熱がとれたら完成だ。西日を透かしたような、優しい黄色に橙の花がふわりと浮いている。

          【短編小説】秋をすくう

          【短編小説】徒花流し

          どれも実になることなく沈むだけ。 灯篭流しと失恋の話  闇に無数の光が流れていく。人々の祈りを乗せて夜の向こうに消えていく。  私はその列に己のものをそっと加えた。何の柄も入っていないシンプルなものを。それは水の流れに従って光の列に加わっていった。  数多の光たちは遠目から見れば同じ光の粒だが、こうして間近で眺めてみると案外個性にあふれていた。文字を刷ったのもあれば、色のついたもの、花や食べ物をあしらったもの。多様な灯篭たちが寄り集まって、緩やかに蛇行する川を浮かび上がらせ

          【短編小説】徒花流し

          【小説】きつねのながれ星

          星降る夜になく獣。 流れ星から生まれたきつねと三日暮らした少年の話。  星落池に落ちた流れ星はきつねになる。そんな他では聞いたこともない伝説が今もなお残っているのが、山あいにある小さな村、稲尾村だ。秋には稲がそれこそ金色の尾のように風になびき、傾斜のきつい坂を上っていく人間たちに手を振っている。 「涼介、今夜こっそり星落池いくべ」  りゅーせー群が見られるんだってよ。囁いたのは数少ない同級生の克重だ。  本人は古臭い名前だと疎んでいるが、涼介からすればなよなよとした自分

          【小説】きつねのながれ星

          【お知らせ】今週は実習で忙しかったため、投稿はお休みします。休む頻度が多くて申し訳ありません。 来週は投稿する予定です。よろしくお願いします。

          【お知らせ】今週は実習で忙しかったため、投稿はお休みします。休む頻度が多くて申し訳ありません。 来週は投稿する予定です。よろしくお願いします。

          【小説】あるカラスのひとりごと

          以前書いた「のけものけもの」に出てくるカラス、ヤタの過去とでこぼこ親子の話。 上記の話の番外編です。本編は長いのでお時間がある時にお読みください。  下で明るい声がはじけた。ちらと視線を下げると赤い箱を背負った子どもたちが駆けていく。  そういえばあの子も何年か前まではあの箱を背負ってガッコウに通っていたのだった。出会った当初は骨と皮だけの瘦せっぽちで、つつけば骨の一本や二本簡単に折れてしまいそうなおチビさんだったというのに、いつの間にか巣立っているのだからまったく人間の

          【小説】あるカラスのひとりごと

          【お知らせ】実習で時間がとれなかったため、今週の投稿はお休みします。来週は投稿する予定です。よろしくお願いします。

          【お知らせ】実習で時間がとれなかったため、今週の投稿はお休みします。来週は投稿する予定です。よろしくお願いします。

          【短編小説】厄介な隣虫

          その虫は最も近しい隣人である。 医者の源斎が患者に頼まれて体の中で暴れ回る「虫」をとる話。  日本橋本町。薬屋が軒を連ねるその通りの一本先の通りだったか、はたまた今川橋を渡った先だったか、どこだかは詳しく伝えられていないが、江戸の喧騒から距離をとるようにひっそりと佇む一軒の屋敷があった。  家の前には一本の柳が立っているが、風に揺られるその姿は昼間ですら陰鬱な影を落とし、近所の長屋に住む子どもたちから幽霊屋敷と恐れられているほどだ。  さて幽霊屋敷と呼ばれているものの、その

          【短編小説】厄介な隣虫

          【短編小説】潮風香る万華鏡

          きらめく水面が映し出すのはどんな心か。 三人組シリーズに出てくる炎野白海が心見とわと一緒に水族館もどきに寄り道しつつ海に行く話。 上記の「夏、いつもと違う始まりを」と関連してますが、読まなくても読めます。  少女の明るい声が廊下まで響いている。聞き覚えのありすぎる声に白海は顔をしかめた。 「ああ、今年もやってきたね。夏の風物詩」  隣の親友、とわがくすりと笑った。 「風物詩なんてそんないいもんじゃないだろあれ。別にアイツら夏じゃなくても海いくし」 「でも夏は必ず行く

          【短編小説】潮風香る万華鏡