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短編小説まとめ

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自分の作った小説の中で4千字~1万字程度の話をまとめたものです。明るい話、暗い話はバラバラですが手軽に読める程度の短い話ばかり集めました
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記事一覧

【短編小説】箱庭の原風景

気づかぬ想いを形にうつす。 常連客持ち込んだ願いを映すビー玉と店主の過去の話。 上記の話…

鳥野 小川
11日前
26

【短編小説】黒い羽のトナカイさん

God Jul!(ノルウェー語でメリークリスマスの意) 烏とノルウェーの小人ニッセの一晩限りのコ…

鳥野 小川
2か月前
26

【短編小説】骸の夢

ゆらゆら、ゆらゆら魚は夢見る。 常連客から持ち込まれた白骨化した魚が泳ぐ金魚鉢と店主の話 …

鳥野 小川
2か月前
37

【短編小説】いろもじ

思い出が描く彩りを。 文字に色がついて見えるようになった男の話。  ある日、突然文字に色…

鳥野 小川
2か月前
48

【短編小説】社畜老人 ブラック☆サンタ

ねえ、知ってる? ブラックサンタのブラックはブラック企業のブラックと同じ意味なんだよ? …

鳥野 小川
2か月前
46

【短編小説】バナナ・バナナ・バナナ

とにかくバナナ! ひょんなことからバナナを大量に手に入れてしまった女のバナナ消費奮闘記 …

鳥野 小川
3か月前
68

【短編小説】What a coincidence!

それは何とも不思議なめぐり合わせ。 ハッピーハロウィン!ひょんなことから英国の妖精ブラウニーと一緒にハロウィンを過ごすことになった小豆洗いの話。 上記の話と世界線は同じですが、読まなくても読めます。  人気のない夜の森にショキショキと響く不気味な音。音をたどって草木をかきわけるとたどり着いたのは川だった。暗闇に目を凝らすと岸辺に誰か座っているようだ。恐る恐る覗きこむと、それは目ざるを持って小豆を洗っているらしい。ふいに人影が振り向く。にやにやと笑う老人の目が妖しく光った。

【短編小説】ものまねのアイ

それはたしかに愛に分類される、はずだったのに。 アンドロイドが主人を立ち直らせるために亡…

鳥野 小川
4か月前
39

【短編小説】秋をすくう

今年の秋は今年だけ。来年は違う秋になる。 今年の秋を食べる女の話。  部屋中に金木犀の甘…

鳥野 小川
4か月前
56

【短編小説】徒花流し

どれも実になることなく沈むだけ。 灯篭流しと失恋の話  闇に無数の光が流れていく。人々の…

鳥野 小川
5か月前
36

【短編小説】厄介な隣虫

その虫は最も近しい隣人である。 医者の源斎が患者に頼まれて体の中で暴れ回る「虫」をとる話…

鳥野 小川
6か月前
36

【短編小説】石の心臓

ああ、やっと見つけました。探しましたよ。 謎の石と不吉なナニカを書き綴ったとあるノートの…

鳥野 小川
10か月前
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【短編小説】涙空トーストのはじまり

いつか骸も花のための養分となる。 どうしても小春ちゃんに救いある展開を与えたくて…。上記…

鳥野 小川
10か月前
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【短編小説】桜の樹の下には初恋が埋まっている

埋めても埋めてもまた芽吹く。 初恋を桜の下に埋めた少女の話。  桜が嫌いだ。いかにも春代表の顔をして、自信満々に咲き誇るあの花が嫌いだ。  頭上の梢は、堅い鱗のような皮がほころんで、淡いピンクの裾がちらりと覗いていた。日が落ちれば、空気はまだ冬の残り香を漂わせるというのに、だ。  ああ、今年もやってきてしまった。最も忌まわしいこの季節が。  少女は憎悪のこもった目で月明かりに照らされた小枝の先を睨みつけた。天に向かって無邪気に手を伸ばす様がいっそう憎たらしい。やがて蕾はほこ