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短編小説まとめ

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自分の作った小説の中で4千字~1万字程度の話をまとめたものです。明るい話、暗い話はバラバラですが手軽に読める程度の短い話ばかり集めました
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記事一覧

【短編小説】バナナ・バナナ・バナナ

とにかくバナナ! ひょんなことからバナナを大量に手に入れてしまった女のバナナ消費奮闘記 …

鳥野 小川
2週間前
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【短編小説】What a coincidence!

それは何とも不思議なめぐり合わせ。 ハッピーハロウィン!ひょんなことから英国の妖精ブラウ…

鳥野 小川
3週間前
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【短編小説】ものまねのアイ

それはたしかに愛に分類される、はずだったのに。 アンドロイドが主人を立ち直らせるために亡…

鳥野 小川
1か月前
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【短編小説】秋をすくう

今年の秋は今年だけ。来年は違う秋になる。 今年の秋を食べる女の話。  部屋中に金木犀の甘…

鳥野 小川
1か月前
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【短編小説】徒花流し

どれも実になることなく沈むだけ。 灯篭流しと失恋の話  闇に無数の光が流れていく。人々の…

鳥野 小川
2か月前
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【短編小説】厄介な隣虫

その虫は最も近しい隣人である。 医者の源斎が患者に頼まれて体の中で暴れ回る「虫」をとる話…

鳥野 小川
3か月前
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【短編小説】石の心臓

ああ、やっと見つけました。探しましたよ。 謎の石と不吉なナニカを書き綴ったとあるノートの話。  女は必死の形相で文字を書き連ねていた。真っ暗な部屋の中、机についた一本の蛍光灯の青白い光だけを頼りに紙にペンを走らせる。  きっとこれを書き記すのは褒められたことではない。それどころか何の関係もない多くの人を巻きこんでしまうかもしれない。だが女にはもはやこの方法しか残っていないのだ。  ノートに書き連ねた文字はところどころに消し跡が残っており、線が震えてしまっている字もある。お世

【短編小説】涙空トーストのはじまり

いつか骸も花のための養分となる。 どうしても小春ちゃんに救いある展開を与えたくて…。上記…

鳥野 小川
7か月前
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【短編小説】桜の樹の下には初恋が埋まっている

埋めても埋めてもまた芽吹く。 初恋を桜の下に埋めた少女の話。  桜が嫌いだ。いかにも春代…

鳥野 小川
7か月前
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【短編小説】記憶の置き傘

あなたが忘れたものはなんですか? 男と何度も現れる赤い傘の話。  それを見つけたのは小雨…

鳥野 小川
9か月前
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【短編小説】氷と炎の国より贈り物を

グレイリヨール!(アイスランド語でメリークリスマスの意) 常夜の国の大烏がアイスランドの…

鳥野 小川
11か月前
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【短編小説】黒猫のシロ

自分にないからこそ好きになる。 白を愛する黒猫を飼っている男の話。  うちには「シロ」と…

鳥野 小川
11か月前
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【短編小説】仏に非ず

無邪気な悪が最も恐ろしい。 おぞましい像とそれに魅入られた男。苦労人の店主を添えて。 以…

鳥野 小川
11か月前
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【短編小説】クラゲの押し花

硝子板にはまった海の花。 老女と好色なクラゲ。クラゲに振り回される店主を添えて。 上記の以前書いた「グラスの夏海」と繋がってますが読まなくても読めます。  ドッジボール大会のごとく投げ交わされる会話がふいに止んだ。初老の男は小瓶を磨く手を止めて顔を上げる。出入口の扉から客の気配は感じられず、変わった点も見受けらない。  店主は首をかしげた。幽霊が通るという俗説で有名な、突然会話が止まる現象だろうか。それにしても普段は誰かが口をつぐんでも、他の者は気にする素振りすらなくおし