「砂の器」
YouTube松竹チャンネルで、野村芳太郎監督の「砂の器」(1974〈昭和49〉年)を再度鑑賞。最近、ロケ地を巡るYouTubeも見たし。
原作は松本清張の推理小説で、脚本は橋本忍と山田洋次。
コレもハンセン病(当時はらい病)が生んだ悲劇だけど、今じゃ民放TVでは放送できないだろうなぁ。ラストに字幕で、ハンセン病の現状が簡単に説明されるが、また差別が助長されるとかで。
映画は、それほど高い評価を受けるものではないと俺は思うけど、ハンセン病を患った父親(加藤嘉)を持って、差別を受けて村を追われ、放浪の旅を続けたことを余儀なくされた子供の頃の過去を隠したい新進気鋭の音楽家の青年(加藤剛)が、子供の頃に世話になった元警察官(緒形拳)が、施設に入る父親が危篤だから会ってくれ、と会いに来て、過去が明らかになるのを恐れた音楽家の青年は、元警察官を殺めたという話である。
それを刑事(丹波哲郎、森田健作)が解き明かしていく。
青年は、父親が施設に入れられて、元警察官に保護されたが、すぐにそこを飛び出して、成長して、名前や戸籍、年齢も詐称し、スポンサーに政治家(佐分利信)を付けて、その娘(山口果林)と婚約し、音楽家として成功を収めていたから、過去が明らかになるのを恐れたのだった。
それほど、ハンセン病を患うことは、差別・排外・隔離の対象であり、社会から抹殺されるほどの重荷を背負わされることであったということは、文献を読んで、ココ熊本の各施設も見学したから承知しているが、映画では、善人とされる元警察官が、“大きなお世話”をし過ぎたと思う。
ハンセン病ぢゃなくとも、それぞれ明らかにされたくない過去はあるもので、父親が危篤だと伝えることは良いが、無理矢理面会させようとしたのは、善意の押し付けでしかないと思うが。
捜査をする刑事が乗る列車や降りる駅等が字幕入りでちゃんと説明されるのは松本清張原作らしい演出だ。
重厚なテーマ曲「宿命」は素晴らしい。
最後、丹波哲郎演じる刑事が、捜査会議で、途中涙ぐみながら(演技ぢゃなくマジだって)、長々と経緯を説明するシーンが、観る者を感動させるクライマックスだろう。俺には、前半の長い振りに対して性急過ぎるのではと思えたが。
ハンセン病患者の加藤嘉やパイオツを見せる島田陽子、脇役の笠智衆、渥美清、春川ますみ、菅井きん、穂積隆信など、昭和の素晴らしい役者は揃ってるけど。
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