それでは今日も尾崎紅葉の『三人妻』を読んでいきたいと思います。
お艶は、病気の余五郎の看病のために本家を訪れますが、使用人に断られます。しかしお艶は、来客のためにこの場から逃げようとする志村を呼び返し、再度看病の願いを奥方へ届けてくれるように頼みます。許しが出るか出ないかは請け合い致しかねると言って、志村は奥へと行きますが、やがて帰ってきて、人手が多いので折角だけどお断り申し上げる、子供がいて自身の家で手が必要な身、心配は御無用、お言葉のみで十分と言われます。早く帰れとの待遇にムラムラするのを辛抱して、しかし長居すればするほど腹が立ち、いつまでも待っていれば恥をかかされて笑われ者になるばかり。お艶は厚く礼を述べて、門を出ます。数えてみると、応接室に五時間余りも居ました……
というところで、「後編その三十四」が終了します!
さっそく「後編その三十五」へと移りたいのですが……
それはまた明日、近代でお会いしましょう!