それでは今日も山田美妙の『蝴蝶』を読んでいきたいと思います。
今日で『蝴蝶』も最終回!さっそく最終章の「その四」を読んでいきましょう!
最後の文章にすべてが集約されてますね!こういうことができるのは、美妙の情景描写がうまいからだと思うんですよねぇ。
蝴蝶という女性が時代に翻弄されて、(蝶なのに)羽を伸ばした生活を送れることもなく夢のように過ぎてしまった…。これには、『荘子』の代表的説話「胡蝶の夢」も絡んでいます。
さらに蝴蝶と、平家の家紋も絡んでいます。平家の家紋のデザインは、蝶を模したもので、「蝶紋」と言います。平清盛(1118-1181)の父貞盛(生没年不詳)が天慶の乱(939年)討伐の功により、朝廷から拝領した鎧に「対い蝶」の紋があったことから、のちに平家の家紋として使用することになったといわれています。
しかも、蝶の羽を折ったのは、弥生の春風ということで、ここも、壇ノ浦の戦いがあった1185年の旧暦3月と裏切者の夫・二郎春風を掛けているわけですね。ちなみに壇ノ浦の戦いは、1185(元歴2)年ですが、この物語を執筆する契機となった古文書には寿永4(1185)年と表記されています。寿永は3年までで、1184年は元歴元(寿永3)年です。『蝴蝶』の前書きとなる古文書に関する内容は#506で少しだけ紹介しています。
ということで、今後に関しては…
また明日、近代でお会いしましょう!