それでは今日も尾崎紅葉の『三人妻』を読んでいきたいと思います。
お才の素振りに胡乱なるところなく、十月は母親のところへ一度だけ、昔の師匠のところへ一度だけ顔出ししただけである。この二度のうちに菊住とやり取りないか伝内は疑いますが、お才の真面目さにやや心は弛みますが、油断のならない女だと、気は常に満ちています。余五郎が来た時も、お才はまったく前非のない人のごとく、馴れ馴れしく、わがままも冗談も言ううちに、余五郎も気が乗って、菊住とまだ脈の通っていることを十分に疑いながらも、こうされては悪い心地がしません。
というところで、「後編その十八」が終了します!
さっそく「後編その十九」へと移りたいのですが……
それはまた明日、近代でお会いしましょう!