それでは今日も尾崎紅葉の『三人妻』を読んでいきたいと思います。
余五郎の遺体を前にして泣き沈んでいるお艶は、轟と乳母に助けられて玄関へと出ます。藤崎が追ってきて、今日は混雑の最中のため、遠慮あって奥方に説明できない、片付き次第申し上げる所存のため、今日はこれにて……と言われ、轟は内心不満ですが、身勝手ばかりも言えず、礼を述べますが、お艶はすすり上げています。轟はお艶を車に乗せ、我が家に帰りますが、ひとり嘆き悲しんでいるお艶を気の毒に思い、すぐに轟の妻を遣わします。翌日、余五郎は谷中の天王寺に葬られます。葬式に参列する者一万七千人、手向けの花は三町あまりを埋め尽くし、見物人は山の如くに盛んです。
というところで、「後編その四十」が終了します!
さて……次章で、この『三人妻』もいよいよ最終回です!
それでは、また明日、近代でお会いしましょう!