それでは今日も尾崎紅葉の『三人妻』を読んでいきたいと思います。
お艶はこれまでの出来事を轟夫婦に打ち明かします。すると「読めた!」と夫婦は顔を見合せ、憎いは紅梅め!と言います。轟は万事まかせたまえといきり立ちますが、轟の妻も腹に据えかねて、お艶様も人が良すぎる!と言います。底の底まで見え透いた浅い計画にかかって、今まで目が覚めず、相手がどこまで騙すつもりか知らないが、よしなき人に親しまれたばかりに情けない身の上となり、あなたがご不憫で口惜しい。今頃ようよう気が付いても今更手遅れ、と言うと、轟が睨み付け「控えておらぬか」と言われ、はっと気が付き、妻はしょげ返り、手持ち無沙汰に煙草をぷかぷか……
というところで、「後編その三十五」が終了します!
さっそく「後編その三十六」へと移りたいのですが……
それはまた明日、近代でお会いしましょう!