それでは今日も幸田露伴の『五重塔』を読んでいきたいと思います。
今日から「その三十二」に入ります!それでは早速読んでいきましょう!
「六十四」には、易の八卦をふたつ掛け合わせて構成される、宇宙の万象を包含できると考えられる基本図表「六十四卦」があります。「易に太極あり、是れ両儀を生ず。両儀、四象を生じ、四象、八卦を生ず。八卦、吉凶を定む」とあることから、「江戸四里四方」と掛けたのかもしれません。「六十四年は既に過ぎたり」とは、「魔王の封印が解き放たれた」ということでしょうね。念の為、六十四卦の基本図表を載せておきます。
鉄囲山は、世界の中心にある須弥山を囲む九山八海[クセンハッカイ]の一つで最も外側の鉄でできた山のことです。つまり、世界の外側に放り出せと言っているわけですね。ちなみに九山とは、須弥山・持双山・持軸山・檐木山・善見山・馬耳山・象耳山・尼民達羅山・鉄囲山の九つです。
なんだか『風流佛』を読んでいるような……いきなり表現がガラリと変わりましたね。というより、露伴って、魯迅が名づけた、中国・明代の「神魔小説」のようなものをほんとは書きたかったのではないでしょうか。とにかく怪異的な表現になると、突然活き活きとし始めますよねw……「神魔小説」に関しては#017でちょっとだけ紹介しています。
ということで、この続きは……
また明日、近代でお会いしましょう!