それでは今日も尾崎紅葉の『三人妻』を読んでいきたいと思います。
今日から「後編その二十一」に入ります!それでは早速読んでいきましょう!
美濃紙の長辺を二つ折りにした大きさの本(300mm×210mm)を美濃本といいます。半紙の長辺を二つ折りにした大きさの本(250mm×170mm)を半紙本といいます。さらに美濃本を半分にした大きさの本を中本[チュウホン]、半紙本を半分にした大きさの本を小本[コホン]といいます。滑稽本や人情本などは中本で刊行されたところから、「中本」は滑稽本・人情本の異称としても用いられます。
「時次郎」は、初代鶴賀若狭掾[ワカサノジョウ](1717-1786)の浄瑠璃『明烏夢泡雪[アケガラスユメノアワユキ]』の主人公です。1769(明和6)年に江戸三河島で実際に起きた心中事件を題材にしたもので、1851(嘉永4)年2月には、江戸市村座の忠臣蔵八段目のあとに清元の『明烏花濡衣[アケガラスハナノヌレギヌ]』を地にして舞台化されました。吉原の遊女・浦里になじんだ時次郎は借金を重ねてまで店に隠れて忍び逢いますが、やり手が浦里を連れ出し、時次郎は店の若い者に引き出され打ち叩かれます。雪の中、時次郎と別れろと浦里は折檻されます。その後ふたりは隙をみて、禿[カムロ]のみどり(実はふたりの間の娘)とともに逃げるという話です。
ということで、この続きは……
また明日、近代でお会いしましょう!