それでは今日も山田美妙の『花ぐるま』を読んでいきたいと思います。
第九回は、浅草の年の暮れの様子から始まります。歳の市も、蕎麦屋も、子供も、せわしない様を見せています。
経師屋は、襖や屏風の張り替えを職業とする人です。
「紺屋の明後日」とは、紺屋は仕事が天候に支配されるので、染物の仕上げが遅れがちで、客の催促に対して、いつも「あさって」と言い抜けて当てにならないことから、 転じて、約束の期限があてにならないことを言います。
際物師とは、一時的に世間にもてはやされる物を作ったり売ったりする人のことです。
トランプは、世界的には「プレイングカード」と呼ばれ、本来はブリッジというゲームの「切り札」を意味する呼び名なのですが、明治の人々が、カードそのものをトランプだと思い込んだため、日本独自の呼び名で定着したといわれています。ブリッジは欧米では「社交上必須のたしなみ」と呼ばれているので、上記の令嬢たちは、ブリッジのルールを勉強していたのかもしれませんね。ちなみに、日本初のトランプ製造に着手したのは任天堂の創業者である山内房治郎(1859-1940)で、1902(明治35)年のことです。
「ほかの腮に齷齪」は、食べることにせかせかしているという意味です。
ということで、この続きは…
また明日、近代でお会いしましょう!