それでは今日も尾崎紅葉の『三人妻』を読んでいきたいと思います。
紅梅は興津から帰ってきて、お艶を訪ねると、余五郎と日光に行っていることに呆れますが、飛んで火に入る夏の虫。これがお艶の運の尽き、お麻を焚きつけるには誂え向き。翌日、何気ないふりして本家へ行き、お艶のことを報告すると、お艶にしては出来過ぎたとお麻は笑いますが、紅梅は、お艶様も余りなお方とムッとします。興津から東京まで迎えを出したのに、ひとの親切を無にして、義理を知らぬ我儘な!日光へ行ったのは、こっちが迎えを出した翌日、息子の病気が一夜で回復するだろうか!回復したとて、日光まで出られるのなら、なぜ興津に来なかったのか!私への見てくれか、奥様への面当てか!たとえ余五郎から行こうと言われたとて、興津から呼ばれた話をすれば、余五郎とてイヤとは言えない、日光行きはお艶様から言い出した……と、ここですかさずお麻が……
というところで、「後編その二十七」が終了します!
さっそく「後編その二十八」へと移りたいのですが……
それはまた明日、近代でお会いしましょう!