それでは今日も尾崎紅葉の『三人妻』を読んでいきたいと思います。
今日の花見を近づきに、これからは心やすく出入りくださいというお麻の言葉を有難くお受けしてお開きになります。帰りの馬車の中でお麻は、あの三人には大抵の男は殺されるだろうと言います。紅梅は心かしこく、お才は張り強く、お艶は無垢である。紅梅は床の口説、お才は酒のお酌、お艶は茶漬けの給仕と役割で例え、余五郎とともに笑います。余五郎は、一番のお気に入りは誰と問われ、お才は物足りない、お艶は素気無い、紅梅は昔ならお家騒動のもととなる曲者と言って、お麻は笑います。その後、紅梅は月に二度ほど通い、お才お艶は二か月に一度ほど尋ねます。
芸者が左手で着物の褄を取って歩くところから、芸者勤めすることを、「左褄を取る」といいます。
というところで、「後編その四」が終了します!
さっそく「後編その五」へと移りたいのですが……
それはまた明日、近代でお会いしましょう!