どろ焼きはニッポンのオムレツだ。
“コナモン”は関西B級グルメのエース。その中でも二大巨頭がお好み焼きとタコ焼きですね。
タコ焼きはもちろん、タコを入れてまん丸に焼いたこれ。関西では家庭にもタコ焼き用のホットプレートがあって当たり前なんていわれていますが、たしかに実家にもあったなぁと懐かしく思い出します。
ソースとマヨネーズが美味しいんですよね。
🐙もうひとつのタコ焼き
そんなタコ焼きですが、兵庫県の明石にはこれとはまた違うタコ焼きが存在します。
明石焼き、玉子焼きなどの名で呼ばれる、明石風は、卵たっぷりの生地にタコを入れて焼いて、出汁につけて食べるというメニュー。今ではけっこう知られるようになったと思いますが、子供の頃、家族でいった神戸旅行ではじめて食べたときは、こんなのタコ焼きじゃないと驚いた記憶があります。
ちなみに明石は関西では、有名なタコの名産地。だからこそ生まれた名物メニューです。
🔥明石焼きは人情で進化する
そして、そんな明石焼きからさらに生み出されたのが、これ。
どろ焼きです。
でもそこで断らないのが人情。タコ焼きの生地を鉄板で焼き上げて、誕生したのがどろ焼きなんですね。
いうならば“鉄板明石焼き”とでもいうメニューです。
そんなどろ焼きもいろいろ進化しているようで、具材はお好み焼きのようにいろんなものが入ったものが定着しているよう。
中でもおなじ兵庫県のB級グルメ、ぼっかけを包んだものは、お肉系メニューということもあって人気です。
今回のご当地グルメアレンジ再現は、どろ焼きの具にぼっかけ風の煮込みを包んだ兵庫県コラボです。
🐮まずは具を作ります
ぼっかけは神戸の長田界隈で生まれた、牛すじとこんにゃくの煮込み料理。いわゆる“すじこん”です。
じっくり煮込んだすじ肉のとろっとした食感と、アクセントになるぷりぷりしたこんにゃくが美味しいですよね。
ただすじ肉は煮込むのに時間がかかるので、今回はちょっと時短アレンジ。ひき肉で作ってみます。
🥩材料
・牛ひき肉…100グラム
・つきこんにゃく…100グラム
・しょうが…適量
・玉ねぎ…1/8個
・醤油…1/4カップ
・みりん…1/4カップ
・砂糖…大さじ2
・水…1/2カップ
こんにゃくはさっと下茹でします。
しょうがとみじん切りの玉ねぎを炒めて、クッキングスタート。
玉ねぎが透き通ってきたら、ひき肉を入れます。
ひき肉は塊になりやすいので、ほぐしながら全体をまんべんなくからめて炒めます。
あとは水と調味料で煮込むだけ。
水分が1/3くらいまで煮詰まったら、そのまま冷まして味を染みこませます。
💧タレは和風だし
どろ焼きはもともと明石焼きのバリエーションとして生まれたので、食べかたも基本はそのスタイル。つけダレも必須です。
💧つけダレの材料
・水…1カップ
・粉末かつおだし…小さじ1
・醤油…小さじ1/2
・みりん…小さじ1/2
・万能ねぎ…1本
材料を合わせてさっと煮たたせればOK。かつおの香りが立ち上ってきて、食欲がマシマシです。本場の明石焼きのつけだれはもっと色淡い感じなので、白だしを使ってもよいと思います。
ではいよいよメインのどろ焼きを仕上げていきます。まずは生地作り。
🥚生地の材料
・天ぷら粉…大さじ2
・卵…1個
・水…1/2カップ
・粉末かつおだし…小さじ1
生地のポイントは水分の量。
お好み焼きやだし巻き玉子と比べてもっと水分が多い、しゃばしゃばとした感じです。
🔥どろ焼きます
🥚材料
・ぼっかけ風そぼろ…お好みの量
・チーズ…1枚
・天かす…大さじ1
・万能ねぎ…1本
フライパンに油を敷いて熱したら生地を広げます。
気泡ができてくるので、大きいものは箸先でつついてつぶします。
今回はチーズ入り。生地の上にチーズを広げて、天かす、ぼっかけ風煮込みと刻んだ万能ねぎを散らします。
あとは生地で具を包むだけ。
一度返して両面焼きます。見た目なかなかのオムレツ感ありますよね。でも、これ明石焼きなんです。タコ焼き器なしの。
焼き上がりはこのとおり。ほら、やっぱりオムレツみたいです。
万能ねぎを浮かべた出汁を添えて完成です。
食べるときはこんな感じ。スプーンですくって出汁にひたしたら、そのままパクリ。卵たっぷりのふわふわした生地の中から、濃厚なぼっかけ風そぼろが出てきて食べ応えもばっちり。
オムレツってプレーンもありますが、炒めた挽き肉と玉ねぎを包んだりもすると思うんです。あれは塩コショウで具に味付けして、ソースやケチャップをかけて食べるのであくまで洋食ですが、ちょうどそれを和風にアレンジしたようなひと品ですね。
タコ焼きのアレンジでもあり、オムレツのアレンジでもあり。それがどろ焼き。タコ焼き専用のホットプレートがなくても作れるのもいいですね。