お茶粥炊けたで。
今回は自分にとって、ちょっと懐かしい味の紹介です。
当たり前に食べていたひと品が、実は郷土料理で、ほかの家庭では当たり前の料理ではなかった…みたいなことってありませんか。
我が家は母と祖母の出身が奈良県。
子供の頃母の里帰りについていくと、朝ごはんはいつもお茶粥でした。
実家の食卓にもたまに出てくることがありましたが、何の不思議を感じることもなく、むしろ白粥は病気の時に食べるものという先入観もあったので、自分の中でお茶粥はうどんやおそばの仲間のように思っていました。
でも茶粥って実は奈良県の郷土料理で、わりと珍しがられることが多いというのを、大人になって知りました。
🍚懐かしいやろ、お粥さん
自分にとっては懐かしい、母の田舎の味です。
今回はそんなお茶粥を再現してみます。
お粥なので、ふだんなら残り物のごはんを使って作ることのほうが多いと思いますが、今回はせっかくなので生米から炊いてみます。
🍲材料(お茶碗3杯分くらい)
・米…1/2カップ
・ほうじ茶…600ml
材料はいたってシンプル。
洗ったお米とほうじ茶。
今回唯一のこだわりは、土鍋で炊くところです。
ちなみに茶粥に使う茶色いお茶のことを実家では“番茶”と呼んでいたのですが、実は番茶とほうじ茶がどう違うのかあまり考えたことがありませんでした。
今回ちょっと調べてみて、ほほうと思った記事を紹介しておきます。
お茶粥に使うお茶は、この“焙じ”という点がポイントです。
色も香りも茶色くて香ばしくてこそ茶粥です。
逆にいうと烏龍茶なんかでもOKで、たまに使うこともあったりします。
🍲では炊いていきます
お米とほうじ茶を土鍋に入れて火にかけます。
土鍋は最初の加熱に時間がかかりますが、熱が伝わればあとは普通のお鍋と変わらず沸いてくるので、安心してもらって大丈夫。
沸騰してきたら最初は灰汁が出てくるので、大きいものは取り除いて弱火にします。
そのままことこと弱火で20分ほど。
最初のうちはお茶の中にお米がある、みたいな感じですが、だんだんとお米がお茶を吸ってふっくらとしてきます。
こんな感じにお米がお茶とまとまったら炊き上がり。
なんだか子供の頃の母の実家に帰ったときの光景が浮かぶようで、ほっとします。
♠大富豪ときゅうりの古漬け
従兄のお兄ちゃんとテレビを見ながら、トランプの大富豪やスピードで遊んだ記憶がよみがえりました。大富豪というゲームを教えてくれたのが、その従兄なのですが、そのときの名称は“ど貧民”。
たしかにゲームの中で主人公たりうるメリハリのあるポジションは大富豪か大貧民のどちらかなので、名称としてはそこにフォーカスするんでしょうね。
母の実家でこのお茶粥と一緒に食べていたおともは、きゅうりのお漬物でした。それも糠漬けの古漬け。
従兄のお兄ちゃんが、これは美味しいねんぞ、どこでも食べられるものとちゃうねんぞ、といっていた記憶があります。
かなりしっかりと漬かったもので、色は緑が抜けて褐色がかっていて、味は酸味が利いていました。それをごく薄く切ったものにおろししょうがをのせて、醤油を垂らしていただいたものです。
🥒茄子ときゅうりの梅昆布和え
糠漬けを漬けるのはなかなか手間もかかるので、今回はその代用小鉢を作ります。
梅干しで酸味を加えた小鉢は、きゅうりの古漬け代わりにけっこういい味を出してくれていると思います。
🍆材料
・なす
・きゅうり
・塩
・梅干し
・塩昆布
茄子ときゅうりを薄切りにします。
ボウルに入れて塩を振って15分ほど置きます。
その間に種を取った梅干しを叩いておきます。
茄子ときゅうりの水気をしっかり絞ったら、梅干し、塩昆布と一緒にボウルに入れます。
よく和えたらできあがりです。
茄子ときゅうりを絞ったあとちょっと味を見て、もししょっぱさが強く感じたら、さっと水で洗うのがおすすめです。
あっさりしたお茶粥に合わせるときは、塩がしっかりきいていても美味しいと思いますが、味付けに使う梅干しと塩昆布の塩味も加わるので、お好みで調節してください。
🍚炊けた、炊けたで
では食べちゃいます。
懐かしいです。
香ばしいお茶の香りと、つやつやとしたお茶色のお粥がそそります。
おともはもちろん梅昆布和え。
のっけちゃいました。
ひと口食べるとお茶の香りがふんわり漂います。
そこに加わるきゅうりのパリパリ、なすのシャクシャク食感がいい感じ。
懐かしいなぁと思いながらいただきました。
おおめに炊いて残ったら、冷蔵庫で冷やして冷たくしたのも美味しいので、ぜひ試してみてください。