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カツ丼のカツはしっとりかサクサクか。

カツ丼、おいしいですよね。

かりっと揚がったカツに、出汁の味を吸った玉ねぎ。まろやかな卵。そこにぱらりと七味唐がらしか粉山椒でもふれば、食欲かき立てられること間違いなし。

カツをもぐもぐ、めしをカッカッ、まさにかきこんで食べる、そんな姿の似合うパワフルな、ある意味ニッポンのソウルフードです。


🍚カツ丼のバリエーション

そんなカツ丼は、さすがに人気メニュー。けっこういろんなバリエーシがありますよね。

まず味付け。定番の醤油系のおつゆで卵とじにしたものだけでなく、ご当地グルメとしても知られるラインナップには、長野や福島のソースカツ丼もあれば、新潟の甘辛醤油のタレカツ丼、岡山のデミグラスソースのデミカツ丼と、カツ丼というお題ひとつに対して、こんなにというくらいスタイルがあります。

でも、今回はそんなカツ丼の中でも基本の基本、醤油ベースのおつゆで卵とじにしたカツ丼のお話。そのベーシックなカツ丼に、ひとつ気になってることがあるので、それを試してみようと思います。

🍚カツ丼づくり

まずはカツを揚げていきます。

好みはヒレ。やわらかくておいしいですよね。

からりと揚げて、よく油を切っておきます。

ここで、ヒレカツをふた切れ揚げたことには、大きな意味があります。はたしてそれがなんなのかは、のちほどのお楽しみ。

続いて、味の決め手のつゆづくり。

💧つゆの材料
・醤油…大さじ1
・みりん…大さじ1
・砂糖…大さじ1
・水…1/2カップ
・粉末だし…小さじ1

だしをきかせた、甘辛醤油ベースは丼の基本ですね。手早くつくってしまいたいときは、市販の麺つゆが便利です。

玉ねぎとねぎを入れて、玉ねぎが透き通ってくるまで煮ます。

🍚カツ丼の気になるポイント

さて、ここで今回のテーマ。カツ丼の気になってる部分の発表です。

そう、カツ丼のカツ。みなさん、カツ丼をつくるとき、その工程において、カツってどのタイミングで登場しますか。

なれ親しんだメニューなので、いつもふんふんと鼻歌なんか歌いながら、自然な流れでつくってて、あらためて問われると、え、タイミング…。いつだっけ。となるかもしれません。

でも、そこでいつも食べてるカツ丼を思い出してください。眼の前にほかほか湯気を立てる、できたてのカツ丼があるとします。当然、まずカツをお箸で捕まえますよね。そしてぱくり。

そのとき。そのときです。

いま食べたカツ。衣はどんな感じですか。

揚げたてのとんかつのように、サクッといいましたか。それとも、ひと口噛みしめると、衣からじゅわっと、甘じょっぱいおつゆが染み出してきましたか。

どちらもおいしいですよね。今回、そこが気になるポイントです。

💧しっとりかサクサクか

カツ丼のカツはしっとりなのか、サクサクなのか。

おうちによって違うでしょう。お店によっても違うでしょう。ということは、普段カツ丼を食べるとき、人はどちらかのカツ丼だけを食べているはず。

我が家はカツも卵でとじてるなぁ、というのであれば、あなたがおうちごはんで食べるとき、カツ丼のカツはしっとりしています。

いや、うちの店はね、カツは煮込まんよ。卵とじにしたアタマをメシの上にどんと載せてね、そのあと最後に揚げたてのカツを載せんだわ。ほら、こんな感じ。大将がそういってくれる定食屋さんで食べるとき、カツはサクサクしているはず。

そして逆に、あと載せ派のご家庭もあれば、つゆ煮込み派のお店もあります。

でもいずれにしても、あなたが食べるそのカツ丼は、そのときのお店や家庭のレシピでつくられたもので、サクサクしてるかしっとりしてるかのいずれかを食べているはずなのです。

で、どっちがうまいのか。

そう問われたら、どう答えますか。お気に入りの定食屋のカツ丼がサクサクしてれば、サクサクと答えるかもしれません。食べなれたおふくろの味がしっとりなら、しっとりと答えるかもしれません。

でも、それは食べ比べた結果、導き出した回答ではありません。あなたがカツ丼を食べるとき、それはあくまでどちらか1種類。はたして、それは公平なジャッジなのか。否。

🍚カツ丼の両スタイルつくります

つまり、そのふたつを食べ比べてみようと思いついたわけです。

というわけで、ひと切れめのカツは煮ます。衣がつゆを吸ってきました。

溶き卵投入。

見て下さい、つゆを吸った旨味たっぷりのカツの様子。

蓋をして少し蒸らしたら、まさに絵に描いたようなカツ煮の完成。

さあ、丼ですからね。次はこれ。

 

ごはんを盛ります。

そして玉子でとじたアタマをたっぷり。

しっとりカツを上にどどーん。

そして、ここで待機してきたもう1枚の出番。

サクサクカツ、あと載せ完了。

🍚カツ丼DOUBLE誕生

あらためて見てみましょう。

まずヒルトップにこれ。

サクサクカツ。衣がからっとしていて、いつものヒレカツです。

そしてその下にいるもう1枚。衣の感じが見た目からして違います。おつゆを吸って、しっとり仕立てになってます。

これが、今回の食べ比べ実現のために爆誕した、しっとりサクサクDOUBLEカツ丼です。

あらためてよく見つめてみると、不思議な感じがしてきました。いつもなら、どちらかしか出会えないのに、きょうは揃って顔見世してくれているのね。これはまさに夢の競演。

🍚サクサクしっとり食べ比べ

さて、ここまできたら、あとはいざ、いざ、いざ、いざ食べ比べ。

まずはてっぺんにいるほうからいきましょう。

サクッ。ひと口齧れば、軽快な音が響きます。サクサクの衣は、ビールがほしくなりますね。黄金の液体が呼んでます。

おつゆを吸っていないので、味付けはなし。衣の香ばしさとお肉そのものの旨味を感じます。いうなれば、味付けはプレーンスタイル。

次のひと口はカツと一緒に玉子とじ、ごはんもぱくり。うんうん、とんかつを包むやわらか玉子とごはんが、口の中で一体になっていくこの感じ。おいしいです。

サクサクのうまさは、クリスピーなファーストアタックが、ひと噛みごとに変化していく、その過程にあるといっても過言ではなさそうです。

サクサクを堪能したら、続いてしっとり。

衣が見るからにソフトでウエットです。

噛むといきなりじゅわりとおつゆが。これはもう、いきなりごはんが欲しい味。食感がソフトな分、玉子とじパートともごはんパートとも、最初のひと口から一体化できる親和性を感じます。まさに丼ならではのカツSTYLEです。なんだか懐かしさも覚える食べ心地でした。

🍚サクサクしっとり総論

サクサクの魅力は、変化していくその様子。まずひと口めはビールがほしくなるほどにクリスピーなカツ単体のおいしさなのに、いつしかカツ丼としてのアイデンティティが目覚め、ごはんに寄り添いはじめる。そんなふたつの顔の魅力です。

いっぽうのしっとり。こちらの魅力の根底にあるのは、安らぎではないでしょうか。サクサクのような変化やアクセントはなくとも、ごはん、玉子とじと三位一体になったまとまりは、無類の安定感を誇ります。親しみやすさにどこかほっとさせられる、そんな気持ちになりました。そこに気づいたのも、食べ比べたからこそという気がします。

🍚みなさんもDOUBLEでどうぞ

ふとした思いつきで試してみた、カツ丼のカツ食べ比べ。どちらがカツ丼のカツのチャンピオンスタイルなのか。同時に食べられる環境をつくれば、決着がつくものだと思い込んでいました。

しかしそれは甘かった。どっちもおいしいです。

そして、今回試してみたことで、究極の結論が出ました。

カツ丼のサクサクとしっとりって、材料に違いがあるわけでなし、両方つくるために、どちらかには必要のない片方のスタイルのための専用の工程があるわけでもありません。

ということは、毎回このスタイルでつくれば、サクサクしっとり問題に決着をつける必要などなく、サクサクとしっとりに優劣をつける必要もない。

ただ、カツを複数用意して、一部はカツ煮にする、残りはあとのせにする。それだけでいいのです。

おすすめの食べかたは、もういうまでもないでしょう。まずサクサクをおつまみとして食べつつビールを飲んで、前菜的に堪能します。そして丼としての楽しみはサクサクの残りで幕を開ける。心が完全に丼モードに切り替わった頃、そこにはしっとりの三位一体が待ってくれているのです。

カツ丼DOUBLEスタイル。みなさんの、おうちごはんのカツ丼がこれになる日もそう遠くはないのかもしれません。

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tokeiya
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