ブイヤベースはおしゃれ鍋
鍋物というと、The和食な印象がありませんか。
たしかに、湯豆腐、すき焼き、ちゃんこ鍋とくれば、これは文句なしの和のメニュー。具材を見てみても、豆腐にお麩、ちゃんこの白菜やつみれなどなど、和だなぁという素材が目白押しです。
でも鍋物って、そもそもなんだろうと考えてみると、一気に世界は広がります。
🍲なにをもって鍋物なのか
鍋で煮たものがすべて鍋物かというとそうではない。これはみなさんも共通の認識だと思います。
たとえば肉じゃが。たとえば筑前煮。たとえばさばの味噌煮。どれも鍋で煮てつくるけど、いわゆる鍋物ではないですよね。じゃあこのメンバーと、湯豆腐、すき焼き、ちゃんことの違いはなにかと考えてみましょう。
あ。ここか。ここが違うぞ。
そう、そうなんです。食べるときの光景を思い浮かべれば、なるほどとなるはず。
肉じゃがも筑前煮も煮たあとお皿に盛り付けますよね。でも、すき焼きとかどうですか。
お鍋が食卓に出てきますよね。そこでぐつぐつと煮ながら、それを各自のお皿に取り分けて食べてませんか。食べてますよね。そうやって。
それが鍋物なんでしょう。
🍲つまり鍋物とは
あと、鍋物っておつゆもいただきますよね。ていうか、それもメニューの一部ですよね。
すき焼きの煮汁。残したくないですよね。ごはんにかけてよし、そこにうどんをいれて煮てもよし。湯豆腐のおつゆ、お豆腐と一緒に取り皿に取りますよね。ポン酢をかけてお豆腐を食べたあと、昆布のお出汁とポン酢の混じったおつゆをずずっとすするの、おいしいですよね。ちゃんこの煮汁、旨味出まくってます。もちろんごはんをいれて雑炊にします。
そうなんです。鍋物とはつまり、
鍋のまま食卓で調理
煮汁もメイン
このどちらか、あるいは両方を満たすものなんだと思います。
🇫🇷これはフランスの鍋物だ
そうなるとこんなメニューも鍋物じゃないでしょうか。
ブイヤベース。南仏の定番人気メニューです。
これがなぜ鍋物か。
もともと漁師料理なので、きっとその場で調理して鍋から食べてた…と思う
スープがおいしい…もはや具は出汁をとるもの、なんてったって世界三大スープに数えられてるらしいです
というわけです。鍋物でしょ。たとえフランス料理でも。
🔪つくってみようブイヤベース
というわけで、今回はトケイヤkitchen流フレンチ鍋物、ブイヤベースをつくってみます。
🔪まずは下準備
まずは香味野菜の準備から。
にんにく、玉ねぎ、セロリ、にんじんは粗みじん切りにしておきます。セロリの葉もあとで使うので、残しておきます。
続いて具になる魚介の下準備に入ります。今回使うのは、白身魚はタラ。あとはイカ、あさり、えびです。
えびは殻をむいて背開きにして、竹串を使って背わたを取ります。殻も使うので捨てずに取っておきます。
えび、タラ、下足を外して輪切りにしたイカを広げたラップフィルムに載せてオリーブオイルを垂らしたら軽く揉み込みます。そのままラップフィルムで包んで冷蔵庫にいれてマリネしておきます。
🍲さあスープづくり
刻んだイカ下足とえびの殻は、このあとスープを取るのに使います。
お鍋ににんにくとオリーブオイルをいれて、火にかけます。
香りが出てきたら、えびの殻とイカ下足をいれて強火にしてさっと炒めます。
香味野菜を足します。
あさりの半量を殻ごといれて、全体を混ぜながらさっと炒め合わせます。ここで使うあさりはスープの出汁。残りは具に使います。
白ワイン投入。
そのまま強火で煮詰めて、水分がなくなったら、水とフォンドボー、トマトペーストを加えます。
そもそもシーフード料理なので、えびの殻などを使って出汁を取っていますが、あえてフォンドボーを使うのは、コク出しのため。いれなくてもいいのですが、俄然深みが出ます。
マルセイユの漁師さんからしたら邪道かもしれません。でも、おいしければいいよね、うん。
どうしても漁師さんの視線が気になる場合は、魚から取った出汁のフュメ・ド・ポワソンをいれればOK。なかなか見かけませんが、小袋入のコンソメみたいな感じで売ってるのを見たことがあります。
あとはセロリの葉を加えてこのままコトコトと、30分ばかり煮込みます。えびの殻、あさり、イカ下足の海の旨味と、香味野菜の旨味を煮詰めていく感じです。
🥄ソースは2種類
今回は、仕上げに添えるソースを、2種類用意することにしました。
🫑オリジナルのパプリカペースト
まずはオリジナルソースの、パプリカペースト。
半分に切って種を取ったパプリカを、アルミホイルに載せてオーブントースターへ。
じっくり焼いて、皮目にしっかり焼き色を付けます。時間はだいたい20分ほどでしょうか。
皮に黒い焼きめがしっかり付いて、実の部分がとろりとしたら冷まして皮を剥きます。
すり鉢に入れてオリーブオイルを垂らしながら、パプリカを潰します。
ねっとりペースト状になったら、仕上げにこしょうをぱらり。
今回はすり鉢で潰しましたが、フードプロセッサーにかけてもOKです。
🧄定番のアイオリソース
続いてもうひとつは、定番のアイオリソース。酸味のないマヨネーズみたいな感じで、なめらかなコクを加えてくれる、ブイヤベース定番のお供です。
まずはにんにくを牛乳に浸して、レンジで加熱します。
生でおろしてもいいのですが、香りが強すぎるので、今回はひと手間下処理をしてみました。
串がすっと通るようになったら、牛乳を捨ててすり鉢に。
にんにくを潰して卵黄と合わせます。
このとき残った卵白は捨ててしまうのではなく、煮込み中のお鍋に加えておくと、アク取りの役目をしてくれます。
熱湯を加えて全体をなめらかにねったら、あとはオリーブオイルでのばすだけ。
とろりとした感じになれば、こしょうで味を調えて完成。
卵黄に熱湯を加えるのは、分離しにくくするためのようですが、酸味が気にならないようであれば、市販のマヨネーズににんにくと卵黄を加えるのもあり。手早くつくれるアレンジレシピです。
さらにカイエンヌペッパーを加えて辛みを加えると、ルイユというソースに。おなじくブイヤベースの定番ソースです。
🍲ブイヤベース仕上げます
🥄濾したら冷ます
さあ、いよいよスープの仕上げです。
濾す際は、木べらで具を押しつぶすようにして、香味野菜の旨味を残さずスープに移していきます。
仕上げにバターを溶かしてコクを出し、こしょうで味を調えたら、いったん冷まして味を落ち着かせておきます。
🦐魚介は焼いて
続いて具になるシーフード。マリネしておいた具を、冷蔵庫から取り出します。
全体に小麦粉をまぶします。
オリーブオイルを敷いたフライパンに、ローズマリーをいれて火にかけます。香りが出てきたら、具を順番に焼いていきます。まずはイカから。
続いてえび。
そしてタラ。
このあと具材をすべてスープに合わせて軽く煮込むので、火通りは気にしなくて大丈夫です。表面にひととおり、焼き色を付ける感じです。
🔥煮込みは軽く短時間
焼けたら取っておいたアサリも一緒に、スープに合わせて、お鍋の中へ。
そのまま火にかけます。
ぐつぐつとしてきたら弱火にして、2、3分で煮込み完成です。
もともと海老の殻やアサリで出汁をとって、スープにしてあるので、ここで加えるシーフードはじっくり煮込む必要はありません。具材として楽しめるよう、さっとスープとなじませるイメージです。
🥖スープのベストフレンド
最後に付け合わせの準備をします。
カットしたバゲットに、粉チーズとこしょうを振ってオーブントースターへ。
スープを楽しむ料理なので、パンは好相性。浸しながら食べるのもおすすめです。
🍲盛り付けたらできあがり
あとは盛り付け。深さのあるボウル型のお皿を用意します。
まずはお皿の中央に、具材になるシーフードを。
その周りにスープをたっぷり。
うん、具だくさんで豪華な見た目。
ソース2種類をスタンバイ。
具材の上から、彩りよくかけていきます。赤いスープに黄色のダブルソース。鮮やかな対比です。
ブイヤベース完成。あれば、刻んだパセリや万能ねぎなど、緑を散らすのもおすすめです。
🥄おしゃれな鍋物
ブイヤベースという名前を聞くと、なんかおしゃれだなと感じるかもしれませんが、本来は漁師料理。和食でいうと、あら汁みたいなもんだと思います。
売り物にならないお魚たちを、まとめてごっそり大鍋で煮てつくる…みたいな料理なので、いろんなお魚がぐつぐつ煮込まれていて、そこから出汁が出て、おいしいスープになる。煮込んでも崩れず残った身は、おっラッキー、具として食べちゃえみたいな感じだと思います。
ただお鍋のまま食卓に出したのでは、なんていうか、せっかくのブイヤベースなのにスペシャル感がない気がしませんか。
そこで鍋物なんだけど、レストランでメインのお魚料理としてサーブされならこんな感じだろうというイメージで、ちょっとおしゃれな感じを意識してつくってみたレシピです。
ちゃんこ鍋とか寄せ鍋も、こんな感じにしてみたら、外国の人に喜ばれそうな気もしますがどうでしょう。
📝ブイヤベースの材料
🍲材料(3〜4皿分)
・えび…6〜8尾
・たらの切り身…3〜4切れ
・いか…1杯
・殻付きあさり…1パック
・ローズマリー…適量
・にんにく…1個
・玉ねぎ…1/2個
・セロリ…1/2本
・セロリの葉…1本分
・にんじん…1/2本
・白ワイン…1カップ
・フォンドボー…小袋1
・トマトペースト…小袋1
・水…1リットル
・バター…10グラム
・こしょう…ひとつまみ
・オリーブオイル…適量
🫑パプリカペーストの材料
・パプリカ
・オリーブオイル
・こしょう
🧄アイオリソースの材料
・にんにく…2片
・牛乳…1/2カップ
・卵黄…1個分
・熱湯…小さじ1
・オリーブオイル…適量
・こしょう…ひとつまみ