えび天て中華ちゃうのんかいな。
すこし前に書いた、中華料理に関する記事を読み返していました。
餃子にしゅうまい、甘酢肉団子に麻婆豆腐。いろんな料理が並ぶのをながめがら、ほかにどんなメニューがあったかなと記憶を呼び覚ましていたら、ふと思いうかんだのがこれ。
🍤あれ?中華屋さんにないような…
えび天。
子どもの頃、祖父に連れられて家族でいった中華料理店で円卓を囲み、そしてテーブルの真ん中のくるくる回るところを回して、食べたいお皿を目の前に持ってきた懐かしい記憶。
そのとき、いつもいたなぁと思い出したのが小エビの天ぷらです。さくっと揚がったふっくら衣のえび天に、塩とこしょうを混ぜたようなものが添えられていて、それをちょんちょんつけて食べる、そんなひと品。
子どももおとなも大好きで、家族でいった中華屋さんでは、みんながお箸を伸ばしていました。
そんな想い出にひたりながら、そういえば最近食べてないなぁ…と考えていたとき、ふと気づきました。
あれ?
えび天って長く食べてないどころか、最近、中華料理屋さんで見かけたことがないような…。
どこにいってしまったんだ、えび天。あの頃の一時的なブームだったんだろうか…。どこで食べられるんだろう、えび天。
そうなるといてもたってもいられません。食べたくてたまらない。ならば作ります。
というわけで、今回は懐かしいえびの天ぷらです。
🍤記憶の中の中華えび天
作ってみようと思っても、そのベースになるのは記憶。とにかく懐かしさが走り出しているので、記憶を整理してとりかかることにします。
エビフライより小ぶり
尻尾はついていない
衣はけっこう厚くてふくらんでいた
塩とこしょうを合わせたようなスパイスが添えられていた
こんな感じです。
えびはいわゆるむきエビを買ってくればよさそうです。あとは衣。あの衣は和風の天ぷらの薄くて、かりかりした食感で、とげとげした見た目のあの感じではなかった。さて、どうするか。考えつつ、まずは付け塩を用意することにします。
🍤では作っていきます
🧂付け塩の材料(それぞれ同量)
・塩
・こしょう
塩とこしょうをボウルにイン。
あとは混ぜるだけ。もしかしたら、ほかにも香りづけのスパイスなんかが入っていたのかもしれませんが、見た目はこんな感じだったような。ひとつまみ味見してみたら、なんだかこれでいい気がしたので、今回はこれでいきます。
続いて衣。和食の天ぷらとは明らかに違った、あの衣。要はフリッター的な感じでいいような気がします。
🍤衣の材料
・天ぷら粉
・炭酸水
というわけで、天ぷら粉を炭酸水で溶いていきます。
気泡をつぶさないよう、さっくりと混ぜ合わせたらOK。
🍤えび天揚げます
洗ってしっかり水気をふき取ったむきえびを衣にくぐらせます。
えび全体にしっかりとからまるように。
あとは高温の油で衣を固めるように揚げていきます。
返せば、美味しそうな色。いい感じ。
🍤想い出の復活
衣ふっくらに仕上がったのは、炭酸水の効果。見た目とてもいい感じ。こんな感じでしたよ、想い出のえび天。
うん、これこれ。衣がふっくらとした見た目で、食べるとカリサクッ。これにレモンを絞って、ちょんちょんと塩こしょうをつけていただいたものです。
👾懐かしいくらげ
そんなえび天のお供に、これも懐かしい中華を添えます。
くらげの前菜も、町中華なんかではあまり見かけないような気がします。どちらかというと、家族でいくような中華街にある大きな中華屋さんのイメージです。
塩くらげはよく洗って、水に浸けて30分ほど戻します。
沸騰したお湯で15秒ほど、さっと茹でます。
氷水にとってしっかりと冷やしておきます。
その間にタレづくり。
🥄味付けの材料
・醤油…1/4カップ
・酢…1/2カップ
・砂糖…大匙1
・ごま油…1/4カップ
・おろししょうが…小匙1
ボウルに醤油、砂糖、酢、おろししょうがを入れてよく混ぜ、砂糖がしっかり溶けたら、ごま油を少しずつたらして合わせます。味付け的には冷やし中華とおなじ感じですよね。
きゅうりは千切りにしておきます。
お皿に敷いたきゅうりの上に、しっかり水分を絞って、タレで和えたくらげを載せます。
うん、これこれ。懐かしさが込み上げてくる、中華の前菜です。
🍤ノスタルジック中華メニュー
えび天にくらげ。なんだかノスタルジックな感じで、モダン中華とは別の想い出の味です。
食べるときは、混ぜておいた塩こしょうにちょんちょん。ぱくりといただくと、まさにあの日の味です。
🗾そうか関西中華だったのか
それにしても、いつから中華料理屋さんでえび天を見なくなったんだろう…。
そんなことを考えて、いろいろ調べていたら、興味深いコミックに出会いました。
なるほど。これはつまり、関西のご当地中華グルメということなのかもしれない。だから地元を離れて以来、見かけなかったのか。いつもあまりにも当たり前に食べていたので、そんなこと考えたこともなかったのです。
それとほぼおなじ感じで、全国共通の中華料理だと思っていた関西中華がありました。それがデザートのひと品です。
杏仁豆腐、胡麻団子、ちょっとマニアックなところだと、なんでしたっけ、亀のゼラチンのゼリーみたいなのもありますよね。名前が思い出せないけど、薬膳料理的なメニューだったかもしれません。
でも子どもの頃食べにいった中華料理屋さんで、定番のデザート的なひと品はそのどれでもなかったんです。
そう、それは大学芋。
あの、お砂糖のカラメルをからめたさつまいもです。
あれが中華の食事の〆だったんですよね。ちなみにうちのあたりでは、“お芋さんの飴炊き”と呼んでたと思います。たしかに甘いし、さつまいもはスイートポテトとか、スイーツの材料でもあるし、デザート的な要素はありますよね。
ただ全国的には大学芋もえび天同様、そもそも中華料理じゃないみたいです。いや、うちのあたりでもえび天=中華ではなくて、ふつうのえびの天ぷらは和食なのですが、中華には中華のえび天がいたのです。でもそれが、関西外では通じなかったなんて。ほんとびっくりしましたが、地元を離れて長くなった今、そういわれてみればそんな気もしてきました。
えび天が中華料理の中でその居場所を築いていたり、大学芋がコースのデザートになっていたり。どちらもメニューとしては全国みんなが知っていて、普通に食べられていると思いますが、関西ではそのポジションが個性的。これもご当地グルメのひとつの形なのかもしれません。