失敗は成功のもと。正確な情報共有が未来につながる
仕事でミスをしてしまった、プライベートで友人や家族を不快な気持ちにさせてしまった。ささいなことから大きなことまで、ミスや失敗を繰り返すのが人間です。
失敗という言葉は負のイメージが強すぎて(実際に叱責されますしね)、その体験を引きづったり、自分を責めたりして、最悪の場合トラウマのような状態に。
本書「失敗学のすすめ」(畑村洋太郎 著)では、失敗をひとつの学問としてとらえて、失敗を次に生かそうという前向きな考え方を学べます。
今回は”失敗情報の伝わり方・伝え方”から、情報が伝わったはずなのに、なぜ同じような失敗が起こってしまうのかについて見ていこうと思います。
失敗した本人を批判せず、どうやってミスや失敗が起こったのかを聞くことが大事で、いかに失敗を次に生かせるかカギ。
失敗したら隠したくなる気持ちはみんないっしょです。しかし、それでは防げたはずの失敗が繰り返されてしまう悲しい結果につながります。
〇古い情報は衰退していく
情報は伝達される段階で減衰していきます。
仮に失敗したとして、その情報を伝えていくとき、末端にいけばいくほど情報が正確ではないことが出てきます。僕は、昔のテレビでやっていたバラエティ番組の情報伝達ゲームを思い出しました。
数日単位なら大丈夫でも、数年、数十年と月日が重なっていくことで情報はどんどん衰退していきます。上記の引用文のように、利便性・効率性が失敗の教訓に勝ってしまうことも。
情報はどんどん衰退していく。この性質を知っておくだけでも、性格に情報を伝達しようという気持ちになりますね。
〇失敗情報は伝わっている過程で単純化される
失敗情報は伝達するなかで、経過・原因の説明が単純化され、正確に伝わらなくなります。
失敗から得た知識を生かすには、失敗そのものを正確に分析し、知識として残るようにすることが大事。
単純化された情報だけを受け取ってしまうと、正確な事実を把握できていません。
すべてを単純化しようとせず、失敗そのものを正確に分析することが失敗学には求められます。
〇聞き手は批判をしない
失敗を知化するためには当事者を批判せず、当時の状況を鮮明に聞く、聞き手の姿勢が求められます。
第三者が想定してつくるものよりも、本人がどう考えて、どう動いて失敗が発生したのかが重要な情報になってきます。
なぜヒアリングをするかといえば、失敗を次に生かすためです。しかし、叱責するように問いただしたところで、失敗した本人は本当のことを言うか怪しいところです。
深層を追求することを念頭において、失敗に至った経緯を客観的にみることで深い知識化につながります。
人間は失敗するもの。その失敗を責め立てることなく、原因追究に力を注げば、次につながるものを生み出せます。本書のように失敗学というひとつの学問としてとらえると、失敗から負のイメージを払拭できそうな感じがしますね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
おしまい。
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