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必要なのは、乱さないことではなく整える方法を知っていること
最近、ほんのり体調が悪い。
以前に比べて疲れやすくなったし、長い時間立っていると軽くめまいがする。便秘気味だし、ちょっとしたことでイライラしてしまう。
特に困っているのが、うまく眠れないこと。布団に入って数時間眠れない日もあれば、一度眠りに落ちても途中で何度も目が覚める日もある。
かといって、病院に行くべきかと言われればそうでもない。そもそも、何科に行けばいいのかもわからない。年明け頃からずっとこんな状態だった。
そんなとき、書店で見つけたのがこの本。
「最近、眠れていますか?」という大きなポップの下に置かれていて、思わず「ね、眠れていません……!」と口に出しそうになってしまった。
優しげなイラストと、帯に書いてある言葉たちがじわじわと刺さる。気になる。とても気になる。そのまま、すがるような思いで本を手に取りレジへ向かった。
「自律神経」って何だろう?
あなたの体を自動で「ちょうどいい感じ」にしてくれる機能。
それが自律神経です。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」で構成されていて、いわば脳が人を操るために伸ばした糸のような機能を備えている。
交感神経は身体をアクティブに動かし、副交感神経はリラックスさせるという真逆の働きをしている。車でたとえると、交感神経はアクセルで、副交感神経はブレーキだ。
著者の小林先生曰く、このふたつの神経のバランスがとても大切だという。
常にアクセル全開の車は怖すぎるし、逆にブレーキかかりっぱなしで全然前に進まないのも困ってしまいますよね。
どちらも高いレベルを保つこと。そのための方法がわかりやすく紹介されているのがこの一冊だ。
明日から始めたい!自律神経を整える習慣
本の後半では、自律神経を整えるさまざまな生活習慣が紹介されている。
「なるほど確かに!」と納得するものから「それで整うの?知らなかった!」と目から鱗のものまでさまざま。とても楽しい。
なかでもいちばん気になったのが「塗り絵」だ。
「塗り絵」には、規則正しい行動に集中する、没頭する、継続するという効果があり、これらが自律神経を整えます。塗り絵をしているあいだは、悩ましい問題やネガティブな感情の連鎖を断ち切り、心を「無」にできるからです。
「心を無にする感覚」でまっさきに思い浮かぶのが、野菜を切ること。
喜怒哀楽のすべてが、私の手から目の前の野菜に吸い込まれていく。それらをざくざく刻んでいくことで、あらゆる雑念から解き放たれ、切り終わるころには不思議とすっきりしているのだ。
最近、その「すっきり」が欲しくていつもより多く野菜を刻んでいたとき、小学生のころに好きだった「版画」を思い出した。
地元・青森では、幼いころから版画を目にする機会が多かった。青森出身の版画家・棟方志功の影響だと思う。小学生のころには、図工の時間にひとり一作品、木版画の作品をつくるのが秋の恒例行事だった。
切出刃や丸刃、三角刃などのさまざまな形をした彫刻刀を使い分け、下絵に沿って彫っていく。静かな図工室で黙々と彫り進めるあの時間が心地よくて大好きだった。
無心で野菜を切る感覚は、あの彫刻刀を握りしめていた感覚とよく似ている。さらには「塗り絵」にも通ずるのではないかと思うのだ。
塗り絵でまっさきに思い浮かぶのが、近所の保育園の子どもたちが塗ったカラフルな作品がスーパーに飾られている風景で、私にとっては完全に「子供向けの遊び」。
そこで最近の塗り絵について調べてみると、思いのほか種類があって驚いた。全然子供向けではないし、何なら「大人の塗り絵」なるジャンルがあることも初めて知った。すごい。
特に気になっているのが、「和」の絵柄を通じて四季を感じられるようなもの。
著者の小林先生も「和柄」がおすすめだそう。
塗るリズムが一定になる規則的な柄や、不思議で懐かしい気分になる柄を色付けしていく作業は、リラックス効果が高いらしい。
さっそく明日、書店で探してみよう。色鉛筆も忘れずに買おう。
あらゆる「やさしさ」がつまった一冊
読み終えてまっさきに感じたのは「なんてやさしい本なんだ!」という感動だった。
自律神経という言葉は知っていても、それがいったい何なのか、なぜ乱れると良くないのか、そもそもどうして乱れてしまうのか、という詳細はまったく知らなかった。
それを丁寧かつわかりやすい言葉で説明してくれているうえに、いちばんやさしいと感じたのは、自律神経が乱れてしまうことを否定しないところ。
私たちにいちばん必要なのは、自律神経を乱さないことではなく、「たとえ乱れても、整えられる方法を知っておくこと」なのです。
本書に書かれている「自律神経が乱れる原因」を見ると、生活するうえでどうしても避けられないものもある。根本から解決したいのであれば、極論、転職や引っ越しの必要さえ出てくる。
そんなの無理だ。というか、乱れた時点でだめなんじゃないか。ああ、自分を大切にする技量も覚悟もないんだなあ、私。
そういう「悲しみ」や「情けなさ」みたいな淀みが心の底にずっとあったのかもしれない。だから、乱れたら整えればいいという言葉に少し肩の荷が降りた気がしたのだ。
日々、ストレスはたまる。寝不足な日もある。ポテチをやけ食いしてしまう夜もある。そんなときは1日15分だけ、塗り絵で心を整える。しばらくそんなふうに生活してみようと思う。