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【読書ノート】組織X 「エンゲージメント」日本一3連覇企業が語る、24のメソッド×事例
今回採り上げる本は、
『組織X「エンゲージメント」日本一3連覇企業が語る、24のメソッド×事例』
著.宮本 茂、白木 俊行
です。
◆この本を手に取ったきっかけ
youtubeで白木さんが出演されている動画を拝見し、非常に面白かったため、この本を手に取りました。
読んでみると、現場で使うことができるフレームワークが数多く紹介されており、非常に参考になる本でした。
◆書き留めたところ① PCマトリクス
経営の4Pは、経営活動を4象限で表して整理したものです。
横軸には「事業と組織」、縦軸には「経営と現場」を置き、各象限において重要なことを、Philosophy(理念策定)、Positioning(戦略策定)、Performance(業績向上)、PeoPle(人財開発)と名づけています。そして、これらの頭文字を取って「経営の4P」としました。
次に挙げる「4つのC」を押さえた、「4Pのつなぎ方」にも大きなポイントがあり、『組織X』を実現する上では非常に重要です。なぜなら、4Pそれぞれを理解しただけでは、各象限は分断されたままで問題が発生してしまいます。
・Corporate-identity:「理念と戦略を統合した、他社にはない『企業個性』」でPhilosophy⇔Positioningをつなぐもの
・Center-pin:「KGIから芯をくったKPIを抽出する『目標接続』で、Positioning⇔Performanceをつなぐもの
・Conidence:「個別成果と全体成長を同時実現する『信頼構築』」で、Performance⇔Peopleをつなぐもの
・Commit:「組織と個人の意志を重ね合わせる『理念浸透』で、Philosophy⇔Peopleをつなぐもの
これら4つのCと、経営の4Pを組み合わせることでできる4象限が「PCマトリクス」であり、これらを押さえることで『組織X』は実現されます。
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この『PCマトリクス』というフレームワーク、勉強になりました。
それぞれの項目について、実践を繰り返す中でブラッシュアップしていく、動的なフレームワークになっていて、実際に自社に当てはめて考えることができるものです。
また、このフレームワークに基づく「24のアクションリスト」が掲載されており、PCマトリクスにもとづく24の質問に答えることで、解像度高く自組織を言語化できる点がすばらしいと感じました。
◆書き留めたところ② ナレッジ
2つ目は「メッセナレッジ1000」、通称「ナレッジ」と呼ばれているものです。ナレッジとは、個人に蓄積された知見やノウハウを、言葉や文章、図表が表現された知識に変換したものを指します。
・・・
当社では、会社経営を「組織」と「事業」に分けて考え、それにそれぞれに10の領域を定義することで、合計20個の経営領域を設定しています。例えば、組織には採用、事業にはマーケティングなどの細かな領域があり、その各領域の中でナレッジを50個ずつ策定しているわけです。つまり20領域✕50個=1000個のナレッジを、当社は財産として保有しています。
これらを活用することにより、新人であっても即座に結果を残すことが可能です。この1000個のナレッジを半年ごとに更新しており
「組織」と「事業」に分けるということは、別の言葉で言えば、ラインの業務とスタッフの業務に分けて、それぞれを領域に分解し、ナレッジを言語化し、更新していく考え方、非常に勉強になりました。
マーケティングが「事業」領域に該当していることを考えると、事業毎に独立性の高い運用をしている組織のように感じましたが、組織を機能で分けて言語化することで、仕組みとして属人性を排除している点と、その他の部分で、個人を尊重している点、矛盾を昇華して、非常にバランスが取れている制度設計だと感じました。
本書の後半で、遠心力と求心力という言葉が出てきますが、個人の尊重という遠心力と組織としての機能の言語化という求心力のバランスをここでも感じることができます。
◆書き留めたところ③ 進行感
・原則㉒WILL⇔will:すれ違いをなくす「理念採用」を徹底する。
・原則㉓will⇔WILL:薄れがちな意志を「定期表出」させる。
・原則㉔WILL⇔will:個人意志のもとに会社として「未来統合」する。
この取り組みについても、全社員参加型で事業計画書を作成している企業ですと、実施しているケースが見られます。
・目指している場所に共感して集まった仲間が、
・自らの成長にコミットし、かつ成長を実感し、
・同時に組織の成長を実感することができている状態。
この3つが揃うと、組織およびメンバーのエネルギーが高まり、組織に対するエンゲージメントも高まります。
実際に、上記の考えを無意識的に実施している成長企業は多くありますが、この取り組みがきれいに言語化されている点、勉強になりました。
◆読後メモ 言語化することの大切さ
中堅企業は言語化があまり得意ではない経営者が多くいるので、ツールがその役割を果たすのかもしれません。
ツールやテクノロジーを導入することで、一気に全体のフレームワークを整えていくわけですね。
・・・
私たちでいえば、かつては共通言語が非常に少なかった。それをLMさんのモチベーションクラウドを入れたことで、事業、組織、経営の共通言語ができ、それで成長が加速したという体験があります。
組織内に共通の言語ができることで、組織のメンバーが共通の物語の中を生きることができます。
この物語の力が、組織の力そのものです。
過去の自分自身の経験から、この共通言語となる物語を編み出すことが出来る経営者は、「ナチュラル・ボーン・凄い経営者」ですが、なかなか、そのような経営者になるのは難しい。
だからこそ、共通言語を組織に浸透できるなんらかのフレームワークを借りて、そこから守破離の流れで、自社らしさを描き出していく。
そんなことが実現できるフレームワークをこの本を読んで感じ取ることができました。
今後、組織を見ていく上で参考にしたいと思います。
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