【DAY.43】新潟発着!2ヶ月で、公務員がバイクで全国周る旅日記
この記事、連載は...
民間から中途で新潟県庁に入った公務員が、4年で退職するその前に、有休消化で全国をバイクで回る、という、ノープランな企画です。予約なし、フィーリングファースト。
7:00、北海道 根室市の民宿、「エクハシ」にて起床。
久しぶりの個室で、ぐっすり眠れた。
普段飲まないのに、優雅にコーヒーなど飲んでみる。
宿のお母さん。
81歳らしいけど、お若い!
経営は息子さん、お母さんはお手伝いらしいけど、こうやって若い人と話せると、気持ちも若くなるよね、とのこと。
究極のアンチエイジングの形を見た気がした。
8:00、出発。
根室半島と知床半島って、地図だと近いけど、走ると遠い...。
さすが北海道。
途中、漁港っぽいところでワシがいて、停めて写真を撮るも、肝心のワシは写せず...。
天気いいっしょ?
そう、この時は。
バイクの写真撮っていたら、一台の車が停まって、中からおじさんが。
この辺で野鳥の観察をしている人なのか、近くにいいポイントがあるとのことで、半ば無理矢理先導して鳥を見に行くことに。
近くに、タンチョウヅルが抱卵しているスポットがあった。
いやー、人に案内してもらって見るって、こんなつまらないのかなって笑
ご本人には大変申し訳ないんだけど、その後言われた一言で、二度と関わり合いたくないって思った。
それは、双眼鏡を覗き込みながら言われた一言だ。
「君もこういう旅をしているなら、双眼鏡を持っていた方がいいよ。2、3万円で買えるから」
は?どういう旅かって、なんで分かるの?
◯◯した方がいいよ、って、相手を1mmも理解していない段階で、どうして断定できるの?
なぜそれが許せないのかは分からない人もいるかもしれないし、説明もしたくないけど、その相手をろくに知らないのに、少なくとも私は、◯◯した方がいいよ、とは、絶対に言わないようにしたい。
それは、単なる思考停止と、そこから来るマウントだ。
で、思い出してもムカつくので、いったん忘れ、一路知床を目指す。
途中の道の駅に、北方領土返還の像があった。
なかなか強烈。
北の領土問題も勉強しなくては。
この辺りから少しずつ空が黒くなっていく。
いや、もう知床半島は別世界。
2℃とかそんなレベル。
手足が凍傷になったらどうしようと思いながら、なんとか羅臼の道の駅までたどり着いた。
私の見た目が相当ヤバそうだったのか、お土産屋さんのおば...いや、お姉さんたちがコーヒーを入れてくれた。
人生で1、2を争うありがたみのあるコーヒーだった。
売り場の中の温風が出る場所に避難させてもらう。
なんでも、昨日までは暖かかったのに、今日から急に冷え込んだらしい。
ブーツもびしょ濡れだ。
こういう時の人間の回復力はヤバい。
震えが止まらなかったのに、すぐにスポンジが水を吸うように元気になっていく。
お姉さんは笑いながら語る。
「知床の山の神は初めての人には厳しいんだ。昨日、お兄さんが来るって連絡が入ったみたいで、閉めたんだわ」
こういうのをさらっと言えるの、かっこいいなー。
そこで売られていたエゾバフンウニ、1匹300円を食べる余裕すら出てきた。
たぶん美味かった。
が、十分味わえるまで回復はしていなかったのが悔やまれる。
そして、併設の観光協会に、こんな表示が。
いや、ちょっと前から出てはいたのだが、どこが知床峠なのかいまいち分かっていなかった。
要は、ここで引き返せということらしい。
悔しいが、こればかりは仕方ない。
が、一応そのギリギリのラインまでは行ってみようと思い、もう少し先へ。
ま、こういうことだ。
しかし、ギリギリまで来て自分の目で見て諦めたこのプロセスには、意味がある。
で、すぐ近くにある熊の湯という温泉へ。
これが、この旅で1、2を争う秘境温泉。
入浴料は無料。
外は極寒、熱いお湯が身体に染み渡る。
入湯料はなく、地元の方々の管理によって成り立っている。
羅臼、1日違えば良い天気が、観光スポットが待っていたかもしれない。
しかし、熱いお湯に入って生き返るような心地を味わえるのは、凍えそうな天気の今日だからこそ。
しばらく贅沢にお湯を独り占めしていたら、地元のおじさんが1人入ってきて、ヒグマの話やこの温泉の話など、ローカルトークを聞かせてくれた。
話す内容と雰囲気に、もしやと思い尋ねてみると、やはり羅臼町役場の職員さんだそうだ。
羅臼町は、かつて16,000人もの隆盛を誇っていたが、今では5,000人。
15歳で町を出た息子さんも、羅臼に帰ってくる見込みはなさそうとのこと。
ちなみに、道庁の職員について聞くと、若くて仕事ができないのに、口は達者なやつが多い、とのことだった。
そういう時は、話の分かる上に直で言うと話が進む、とも。
どこかで聞いたことのあるような話だ。
まともに相手にしたらダメで、上手に流すのがよいそうだ。
全くそのとおり。
しかし、陰でそう言われている当の職員たちは、恥ずかしくないのか?悔しくないのか?
いつまで内輪でしか通じない論理をふりかざすのか?
そういう話をすると決まって、
「県庁の常識は、民間の非常識だから」
みたいなことを言われる。
いやいや、問題意識あるなら改善したら?と思うけど。
閑話休題。
人心地を取り戻し、道の駅に戻ってラーメンを食べることに。
知床羅ーめん1.050円。
花咲ガニ、エビ、ホタテなど、海の幸盛りだくさん。
これでかなり回復した。
やはり、身体は内と外から温めなければ。
というわけで、峠越えは諦めUターン。
少しだけ晴れ間が見えるというのに、風が冷た過ぎる...。
これは本当に対策取らないとヤバいと思い、ホームセンターで漁師用の防水手袋、もう一着のダウンジャケット、長靴を購入。
準備も整い、再び最北端を目指す。
根室峠という名の峠を越えたのだが、これが想像以上にキツかった。
途中から、雨が雪に変わる。
もう5月半ばなのに、信じられない。
それでも気合いでなんとかするしかない。
走り続けた。
これ、ホームセンターで諸々買わなかったら死んでたな。
根室峠凍結注意と電光掲示板に書かれてて、大げさだろ、と思ったけど、これはマジなやつ。
どうにか峠越えを果たし、斜里町という小さな町へ到着。
時刻は16:00。
なぜか道の駅にいたクリオネを見ながら、近くの宿を探す。
目当ては、インディアンサマーカンパニーライダーハウスという有名なライダーハウス。
が...なんとリニューアル工事の真っ最中で、閉めているそうだ。
寒さに震えながら絶望する中で、キツネが大きく伸びをしていた。
ネコの方がよほど警戒心がある。
結果、すぐ近くにあった湯元館という温泉宿に泊まることができた。
温泉で、厳しかった寒さをリセット...。
温泉、大事。
近くのスーパーで食材を買い込み、1人ジンギスカンにトライ。
いや、本当に、この旅で1、2を争う厳しい一日だった。
あと、なぜか知床半島の前半、Google Mapsの位置情報が記録されていなかった。
さすが試される大地、北海道...。
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