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どうしようもないので自家製キムチ
とにかく手を動かす。どうしようもないので手を動かす。料理は瞑想に近いかもしれない。
夢中で手を動かしていると、頭の方は空っぽになっていく。目の前のことがどんどん進んでいく。ひと玉まるまるの白菜は、ばらばらに刻まれた後しなしなになって赤くなっていく。
自分で自分の機嫌をとるのが苦手だと思う。今日はまあいっか、と許して美味しいものを食べたり、ゆったり映画でも観たり、ちょっと奮発した買い物をしたりすることができない。
計画的に、なるべく完璧に、予定を詰めて。
毎日毎日そんな生活を繰り返して、ぐるぐるとハムスターみたいに走り続けているとどうしようもなくなることがある。泣きたいような、そうでもないような。誰かにぶつけるのもいいかもしれないけれど、そうして後から迷惑だったかななどと思ってしまうのも嫌だ。
すると私は、部屋のいらないものをどんどん捨て始めるか、時間のかかる料理をするかの2択になる。共通しているのは、手は休みなしに動くのに頭は空っぽになっていくこと。
白菜を4等分する。お尻の方に少しだけ包丁で切れ込みをいれて、後は手で裂くように割ると葉が小さくぼろぼろになりすぎない。
この狭い台所は大きな白菜の置き場に困ってしまう。いつか社会人になったらもっと大きな2口コンロのある家に住みたい。台所に窓があればなおいい。
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白菜の3パーセント分の重さの塩を足して揉みこむ。バイト先の差し入れでもらった午後の紅茶2本のペットボトルを重石にして、白菜から水を抜いていく。
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続きは次の日になる。
朝からシャワーを浴びてそれから白菜の塩を落としてからを絞っていく。睡眠をはさみ、ここまでキムチづくりが進んできたらもう何が「どうしようもない」ことだったのかそんな感情があったのかどうかさえ忘れてしまっている。
私のキムチは茅乃舎のだしパックをまるまるいれること、にんにくはほんの少し、生姜をいれて、唐辛子はたっぷり。あと気持ち程度の蜂蜜。
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自家製キムチはスーパーのキムチのような真っ赤な見た目にならない。
私が下手なのか、手作りってそういうもんなのか。
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冷蔵庫で2週間ぐらいは大丈夫。ちょっと発酵して酸っぱくなるけどそのあともきっと大丈夫。キムチって実は冷凍も不可能じゃないってネットに書いてあった。
結構唐辛子だらけに見えるけど、そんなに辛くないから大丈夫。
とりあえず全部大丈夫。
作業を進めれば、確実に食べられるものが形としてできる。料理という作業は、自分の機嫌を自分で取ることが苦手な人間にわかりやすい成果を与えてくれる。
食べて、目の前からなくなって、私の細胞の一部になる。
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